「ゴーストライター」

大好きなロマン・ポランスキー監督(もう87なんだね)の「ゴーストライター(The Ghost Writer/The Ghost)」(2010)。佐村河内と新垣さんぢゃないよ(笑)。

元イギリス首相の自伝を執筆・編集することになったゴーストライターが、米CIAが関わる巨大な陰謀に巻き込まれていくサスペンス・ドラマだ。

まず元イギリス首相ってのが、英国諜報部員007のピアース・ブロスナン(ちょい違和感あり)で、実はCIAのスパイ?なんてポランスキーのイギリスに対する皮肉か?って思っちゃうねー。

前任のゴーストライターが元イギリス首相の自伝を書くために調べてたら、ある国家を揺るがす重大な秘密を掴んで、自伝の原稿にその秘密を暗号のように紛れ込ませた。その直後に彼はフェリーから落ちて死ぬことに。そして、ユアン・マクレガー演じるゴーストライターが、未完成の自伝を完成させるために雇われる。何も知らない彼も前任者の死因に迫り、足跡を辿っていくうちに、最後に秘密に気付いて…。

ゴーストライターも滞在することになる元イギリス首相の家がある島の風景が、雨の多い天気の悪いどんよりとした海岸線など、もうミステリーにピッタリ。陰謀に関わってる人々の心の内までも表してるようだ。

重大な秘密ってのは、元イギリス首相が中東での戦争で捕虜の虐待に関わったとして人道的見地からスキャンダルに発展するが、実は彼はCIAと深い繋がりがあって、イギリス首相の立場から、アメリカの利益のために働いてたのでは?ということだけど、実はCIA要員は彼の奥さんでスパイ活動をしていて、前任者はそれに気付いて殺されたのだ。

ラストに向かって一つ一つ疑問があらわになっていき、最後の自伝出版パーティで後任のゴーストライター、ユアン・マクレガーが全てを解き明かして、会場を出たところで猛スピードで走ってきたクルマに轢かれる。

轢かれるところは出てこない。音と通りを歩く人々の驚きの声、それに辺りに飛び散る原稿でそれとわかるのだ。

このゾクゾクさせるラストはさすがポランスキー監督だけど、どこまでも追い詰められていく人間を描くというポランスキーらしさは薄れてるような。歳かなぁ。

このような諜報部員の活動はよく映画にも描かれる案件だけど、実際にも俺らなんぞわからないところで熾烈なスパイ合戦は行われてるのだろうか。火のないところに煙は立たず。インボー論だったら良いけど。表向きは友好国でも、殺し殺されのスパイの暗躍でバランスを保ってるとしたら、我々の住んでる世界は常に危ういところで成り立っているわけだ。

そういやガキの頃、秘密基地を作って、スパイ手帳を持って、同じバッジを胸に、わざわざ水に溶ける紙にどうでもいいことを書いて友達に渡してたなぁ(笑)。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。