【古典邦画】「はたらく一家」

成瀬巳喜男監督の、1939(昭和14)年の一時間強の小品「はたらく一家」。YouTubeにて。

戦前の作品で、“マジで貧乏はツラいよ〜”といった内容だけど、当時の、子だくさんの中流家庭の暮らしって、とりあえず貧乏がスタンダードだったのだろうか。

原作は、プロレタリア作家・徳永直(知らん)の小説。

希望が見えないような展開だけど、父親がだらしがなくて給料が少なく、母親も子供の世話に忙しくて、働ける兄弟皆で家計を支えるものの、なかなか毎日の生活苦から抜け出すことができない。

学校の成績の良い長男が、この貧乏ループから抜け出すために、家を出て独立する決心をする。

成瀬監督にしては、弱い立場の女性が主人公ではなく、兄弟を中心に、この中流家族の生活を描くことが主である。

原作を書いたのはプロレタリア作家だから、当時の労働者階級の困窮ぶりを描いたのかもしれない。

にしても、戦前で、この内容を、当時の帝国主義軍部がよく許したものだね。

男の子は、実は学校で学問がしたいけど、家族のために丁稚奉公に出されることが決まっている…なんて悲惨なんだ。

親が、貯めた小遣い銭を持つ子供に金を借りるなんてなぁ。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。