「性のタブーのない日本」

著者らしく、古典「源氏物語」を基に、とりわけ平安期の貴族社会の性愛を中心として、西洋のタブーとは違った独自のモラルを発展させてきた日本の性文化を論じたもの。

平安時代の女子は、家にこもっているのが当たり前で(死ぬまで外に出ないこともある)、男子が外で歌を詠んだりして、女子が気に入れば、中に入って“まぐあう”のであり、女子が顔を見せて会うこと、イコール、“やる”ことに合意することだったという。

で、男子が性欲を掻き立てられるのは、女子の見た目などよりも、ひとえに“ホト”であって、オッパイは全く関係がなかった。あくまでオッパイは子供のものか用途不明なムダなものであったのだ。

当時の貴族の女子にとって、顔を見られることは、“ホト”を見られて、“まぐあう”ことよりも、死ぬほど恥ずかしいことだったらしい。

もともと日本列島の始まりが、イザナミの命(女)が「あが身は、成り成りて成り合わざる処一処あり」といい、イザナギの命(男)が「あが身は、成り成りて成り余れる処一処あり」と答えて、イザナギの命が「このあが身の成り余れる処をもちて、なが身の成り合はざる処に刺し塞ぎて、国土を産み成さむとおもふ」と提案して作った、つまり、俺の余ってるところを、あなたのふさがってないところに入れればちょうど良い、と書かれた文化があるから、そこには西洋のエロスとは、また違った猥褻ではない独自の性文化が育ってきたものだと思われるのだ。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。