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「ポセイドン・アドベンチャー」

「タワーリング・インフェルノ」をはじめとするパニック映画の先駆け「ポセイドン・アドベンチャー(The Poseidon Adventure)」(72年・米、ロナルド・ニーム監督)を鑑賞。

映画評論家の町山智浩さんがYouTubeで絶賛してるのを見たからだが、もう古い映画だけど、やっぱり素晴らしい。ハラハラドキドキの約2時間、目が釘付けになった。

大晦日の夜、豪華客船が地震による大津波で上下逆さまになり、生き残った乗客らが必死の脱出を図るという物語。

主人公といえるキリスト教の牧師が始めの方に甲板で行った説教で、「苦しい時に神に祈るな。祈るなら内なる神に祈れ。勇気を持って戦え、神は努力する者だけを愛する。神は一人ひとりの面倒を見ている暇はない。人間は自ら努力して苦しみを解決しなければならない」とアジってて、元格闘家らしく闘いに臨む決意の言葉みたいで、船が逆さまになってから、強引でも皆を率いるヒーローのような存在になる。

最後は「神よ、まだ生贄が必要なのか!満足しないなら、私の命を奪え!」と捨て身でバルブハンドルを回して皆を助けて落下、死ぬのだが。

ここに監督の訴えたかった宗教観が現れてるのかもしれない。考えれば、逆さまになって、牧師と着いて来た乗客ら10人が一人、また一人と落ちて死ぬ中で、船尾に向かって“船底”を上がって行くのは、預言者に率いられた民が困難の末に新天地に辿り着くような宗教の説話みたいだ。

クレーマーでプライドが高く牧師としょっちゅう衝突する警察官も名バイプレイヤー。他にも、元娼婦の強い奥さん、役立たずでクソデブのブルジョア夫人が水中に潜って牧師を助けたり、ヘラヘラ変人の男が意外にも的確なアドバイスをしたり、唯一カワイイ女の子もおみ足全開で着いて行くし、その弟の少年が逃げ道を知ってたり、登場人物それぞれの個性がしっかりと描かれている。

人間はそれぞれ個性があって、神に頼らなくても、それが自分で人生を切り開いて行く力になると訴えたのでは。

危機に陥った時に、それぞれの考え方が生死を分けることがある。ただ運命に身を任せるのでなく、自分で冷静に判断して、生きる可能性に勇敢に挑むことだ。それでも理不尽に一瞬のことで死んでしまう人がいる。でも、それが人生である。…と何やら勇気付けられたパニック映画の傑作だった。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。