【前衛的映画】「オテサーネク」

前衛的な映画監督、ヤン・シュヴァンクマイエルの長編第四作目「オテサーネク 妄想の子供(Otesánek)」(2001年)。マンドラゴラのような食人木を題材にした、大傑作のファンタジー・ホラーだと思う。

子供ができない若い夫婦。
夫がノイローゼとなった妻の慰めとなればと、木の切り株を赤ちゃんの形に削ってプレゼントする。
妻は、その切り株を本物の赤ちゃんのように思い込んで接して、オティークと名付けて、徐々に狂気に陥っていく。
すると、切り株オティークは、自らの意思で動き出して、恐ろしい食欲を発揮して、ミルクや流動食のみならず、肉や動物、人間までも食べるようになる。

この話は、チェコの民話にあるという。

夫婦は、オティークを隠していたが、隣人の少女、アルジュビェトカだけは見ていた…。

民話オテサーネクを下敷きに、シュヴァンクマイエル監督ならではの、不気味な味付けが全編に渡って為されており、残酷描写あり、グロテスクあり、エロチックあり〜ので、最後まで目が離せない面白さであった。

シュヴァンクマイエル監督の映画には、音を立てて、グロっぽく、クチャクチャと食べるシーンが多いなぁ。しかも、美味そうではなくて、めっちゃ不味そうだし。ただ、下品に口に突っ込んでる感じだ。

隣人の少女が、オトナ顔負けのエロい演技で、オティークの餌となる男を誘ったり、短か過ぎるスカートから思いっきりパンティを見せて幼児性愛の老人を惑わせたり、さすが不道徳でシニカルなユーモアが上手いシュヴァンクマイエル監督である。

動く切り株も、チェコらしい、CGではない、紙芝居のような不気味さに溢れている。コレも多分、コドモの頃に観たらトラウマ必至だろうね。シツコイ悪夢を見たようだ。

ただ、最後、オバさんがオティークを殺すところまで見せて欲しかったね。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。