【洋画】「アンネ・フランク 真実の物語」

「アンネ・フランク 真実の物語(Anne Frank:the Whole Story)」(2001年、ロバート・ドーンヘルム監督)。

たまたまYouTubeで見つけて鑑賞。3時間を超える長丁場だけど、日記を元にアンネの一生(15歳没)を描いた作品。

昔、オランダ・アムステルダムには4回も行ってるけど、当然、アンネらが隠れていたアパート(博物館になってた)も見物、葉っぱ他の影響もあって、ホテルでアンネの境遇を想って号泣したものだ。

それに「アンネの日記」が、単なる不幸な少女の感傷記などではなく、思春期の女の子のアブナイ内面を素直に綴った、素晴らしい文学だったので、アンネ関連の映画は、アニメも含めてけっこう観てると思う。

演じた女優さんがアンネにクリソツ。

俺が思うに不完全だけど、信頼を寄せる父親と違い、彼女が「少しでも尊敬できる母であってほしい」という母親との確執、気になる男の子と初キッス、月経の始まり、隠れ家での人間関係から、作家になる夢、ユダヤ人とドイツ人のこと等、彼女が日記に記した通りに描いてあると思う。ちょこちょこ当時の映像も混じる。

閉じ込められているからこそ、アンネの創造力や観察力は、とても自由に縦横無尽に羽ばたいて、読む者の心に何かを残すのだ。

やはり、ゲシュタポに見つかって、強制収容所に入ってからのシーンが辛すぎる。ラストは泣いてしまった。

だんだんと弱っていき、さらにガリガリに痩せて、長い髪も切られて、汚れて光を失った眼だけがギョロギョロしている。最後までガス室送りにはならなかったからまだいい。妹と共にチフスに罹り亡くなっている。あと1週間だけでも生き延びてくれれば解放されたのに。

実際の、アンネの死については、生き残った者の証言を残すのみで詳細はわからない。また、映画では、隠れ家を密告したのは、下の工場で働く作業員の妻になってるが、いくつかの説はあるが、これもハッキリとはわかってない。

しかし、父親のオットー・フランクは、冷静で頭もいいのに、なぜ危機が迫っているということがわかってて、家族と亡命でもして逃げなかったのだろうか。残念。彼が生き残らなければ、アンネの日記は世に出なかったけど。

夢と希望をたくさん持ってる聡明な少女が、絶望して虚無に陥っていく姿は見ていられない。不衛生で食事もなく餓死寸前で…もうたまらないね。アンネのみならず、150万人もの子供たちが同様に犠牲になってるという。

つくづく権力とそれになびいてしまう大衆って恐ろしい。「どんな境遇でも人は慣れるわ」「ナチに媚びるユダヤ人が一番タチが悪い」byアンネ


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。