「狂雲集」

「なるようにしかならん」の、一休さんの漢詩集。

アナーキーな宗純(一休)ワールドが満載。
狂雲ってのも一休さんのこと。

それにしても、いつも前後不覚に酔ってるなぁ(笑)。

真面目に仏道に精進してる自分を詠んだと思えば、酒と女に溺れる自分も自暴自棄風に詠んだりしてて、世の中は一筋縄ではいかないんだよって一休さんが説いてるようだ。だからこそ庶民に人気だったわけだ。

「6年にわたる飢えと寒さが骨身にくる。そんな苦行こそ仏祖の奥義である。生まれながらの釈迦仏など、どこを探してもいないのである。今の修行僧はどいつもこいつも穀潰しだ」

「悪癖は、信念の弱さから、良し悪しの分別から、ワガママの片よりから、引っ込み思案から、方便のからくりから、小さい自己満足から、師友の偏狭さから、党派の無理強いから、地位と顔へのこだわりから、一生威張り散らして何もつかまぬことから」

「インチキくさい師匠ばかりで、本当の師匠がいない」

「禅を学んでも、実際は何の役にも立たず、世の中が乱れて、頼みになる英雄は、一人の棒つかいである」

「男の死に様に色気がどうして負となろう」

「人間は全く畜生で、牛馬のように愚かであり、詩も文も、根っから地獄の思案である。自己満足、こけおどし、情の怖さ等、恐ろしいのは、悪魔がピタリと、そこに寄ってることだ」…。

破壊僧のような風狂の生活を送った一休さんだけど、87歳でマラリアにかかって死ぬまでは、若い盲目の美女を妻に持って(男色も盛んだった)、「美人の淫水を吸う、妻の聖水を口にして…」なんて漢詩も残してる。

坊主の世界では否定される性欲をも肯定して遊びまくることで、無欲無心の境地を相対化して、その間際に遊ぶ空間を示したのだ。←ナンノコッチャ

自由奔放に動き回ることで、仏法や世間に常に異議を唱えるのだね。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。