「うちの子が、なぜ!」

古本屋において100円で投げ売りされてたのでゲット。

検察をして、「我が国犯罪史上においても稀に見る重大かつ凶悪な犯罪。残忍かつ極悪非道である点において、過去に類例を見出し難く…行動はまさに人の仮面をかぶった鬼畜の所業と断ぜざるをえない」とまで言わしめた、あの胸糞悪い凶悪事件についてのノンフィクション。

著者の佐瀬稔氏(故人)は、一柳展也くんを取り上げた本が大変興味深かったけど、これもマスコミ的な下品で低劣、下世話な興味を引くだけのウンコ本と違って、犯人らの幼少期からの家庭環境や学校教育に焦点を当てて、なぜ、ああいう凶悪事件を起こしてしまったのかを真面目に考察したものだ。

家庭は、どこも父親が仕事、浮気、別離等で不在で、小学校高学年から母親に対して激しい暴力を振るうようになっている。
学校では徹底した管理教育を受けて、校内暴力ではなく、度々、部活等でも、教師による暴力の犠牲になってる。
裁判では精神鑑定も受けていて、多少、脳の発達に障害があったようだ。

ヤンキーが生まれやすい家庭環境や当時の学校の管理教育などは、決して特別ではなく、脳に障害があっても医学的に異常であるということはない。つまり、犯人の少年たちのパーソナル・ヒストリーに、特に異常な点が発見できないのである。

裁判では、親の不適切な養育態度や発達障害等による行動を専門家が問題視してるけど、何よりも恐ろしいのは、残虐なモンスターではない、よくある下町で目立ってたヤンキーが起こした事件だからなのだ。

しかも、主犯の4人だけでなく、犯人の少年の自宅2階に少女が監禁されてたことを、少なくとも100人近い少年たちが噂で知ってて、10数人は少女と接触してたのだ(ここからスマイリーキクチ中傷被害事件が起こる)。

それにもかかわらず、少年たちは少女が監禁されているという事態を重大な問題とは考えておらず、警察への通報はもちろん、親など大人たちへの伝達もなされてないことが一番恐ろしいのだ。もしかしたら、近代の子供たちへの教育の歪みの一つが顕著に現れた事件であったかもしれない。

裁判であれだけ嗚咽して泣き崩れ、時に気絶して倒れた犯人の少年たちのほとんどが再犯してることを知ると、その後の処遇に何の効果もなかったことがわかる。今は行方不明になって苦しんでるとは思うけど。

やはり、これだけの凶悪事件を起こしたら、死刑で即吊るすのではなく、死ぬまで管理して閉じ込めて、徹底的に反省させて苦しませるべきだと思う。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。