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「ルートヴィヒ」

ルキノ・ヴィスコンティ監督の「ルートヴィヒ(Ludwig)」(1972)を鑑賞。

クッソ長い映画で237分(4時間余り)もある。かったるかったので、2日に分けて観たよ。

「地獄に堕ちた勇者ども」、「ベニスに死す」に続くドイツ三部作だって。2作は前に観たかなぁ?

今は無きバイエルン王国(19世紀から20世紀にドイツ南部に存在した)の王、ルートヴィヒ2世の即位から死(自死)までを側近の話を交えながら淡々と描いた歴史大作だな。

なんか大長編歴史小説でも読んでる感じでもあり、でもそんなに退屈はしなかったけど、それは王様ルートヴィヒ2世のクソわがままでプライドが高くめっちゃ気分屋的なブルジョア的性格が素直に描かれてたからだと思う。後半の狂気となってしまった王の表情が凄まじい。

従姉への一方的な横恋慕と失恋から見せしめで他の女と婚約してすぐに破綻、音楽家ワーグナーのパトロンとなって騙されて、だんだんと孤独を好むようになり、美青年の俳優らにホモセクシャルな想いを持ったり、一国の王としての自覚なんかそっちのけで散財して豪華な城を建てたり、ついに精神病と診断されて罷免、養生先で夜中に散歩に出てピストル自殺ときた。

全てがイヤらしい程の豪華絢爛なブルジョア趣味で彩られた日常の描き方はヴィスコンティ監督の得意とするところ。しかも登場する青年たちが皆、息を呑むほどの美しさ。宝塚みたいだ。

人間はやはりただ生きるのさえも装飾した概念を絶対必要とするものだと思う。ブルジョア貴族たちの着る服から挨拶、作法、しきたり、言葉使い、全てが格式貼った過剰な演出の中にある。そこに実際の意味を見出してはいけないのだ。そんな中で泣き、笑い、感動して、嘆き悲しむが、全く世界が違う出来事のようだ。贅沢三昧をやって自滅した狂王の物語。確かに一般の庶民とはかけ離れているけど、それだからこそ悲劇が人を感動させる物語として際立つ。

ヴィスコンティ監督は長期にわたる撮影中に病に倒れて、懸命なリハビリに取り組んで奇跡の復活を遂げて完成させたが、左半身に後遺症が残ったというけど、脳出血か脳梗塞だったのだろうか?でも、映画会社から「長過ぎる」とクレームが入って短くしたというから悲しいね(笑)。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。