【邦画】「お早よう」

図書館で借りた小津安二郎監督(50作目)の「お早よう」(1959年)。カラー作品。

俺が生まれる前の作品だけど、小津作品って懐かしいんだよなぁ。

昭和の、郊外の新興住宅地(同じような平家が並んでて路地住宅みたい…)に住む人々の日常をコミカルに描いた秀作。

小津作品特有の、廊下や通りを一方向から俯瞰的に撮ったり、それぞれの人物を正面から撮るアングルによって、ごちゃごちゃすることなく落ち着いて観ることができるのは良いね。

相撲(双葉山が人気)を見るため、近所のテレビを持つ若夫婦(キャバレー勤め)の家に通う子供たちと、それを苦々しく思ってて、いろいろと噂し合う母親たち、テレビを買ってとせがむ子供を叱る父親に、様々な訪問者…が登場する日々。

昭和の日常の風景を、そのまま切り取ったような映像でやっぱり懐かしい。

子供たちが、学校の行き帰りに、オデコをピンとやるとプゥ〜ッと自在にオナラをする練習に熱心なのは笑っちゃう。上手くできずにブリッとウンコが出てパンツを汚してゆっくりと帰る子供もいる。

子供が、あまりにもテレビ(ナショナル)を買ってとうるさいから、父親が「お前は口数が多い。男だったら黙ってろ」と叱ると、「大人だって口数が多いじゃないか。おはよう、こんにちは、こんばんは、良い天気ですね、なんてムダなことをいつも言ってるじゃないか」と反抗して、しばらく、学校でもダンマリを決め込むのは、似た様な経験があってなんとも微笑ましいね。

子供たちは、大人の方がムダなことを言ってると考え、大人は、そういう挨拶も社会の潤滑油でムダじゃないと言い、さらに、時に大事なことも言ってると教える。でも、結局、大事なこと(お互いに好きだということ)が言えなかった大人の男女がいたのだ。

何気ないことにも深みがあるのが小津作品だと思う。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。