【映画】「オール・アバウト・マイ・マザー」

1999年のスペイン映画「オール・アバウト・マイ・マザー(Todo sobre mi madre)」。

監督はペドロ・アルモドバル。面白かった「ボルベール〈帰郷〉」の監督で、複雑なストーリーではあるけど、“しっかりと生きる強い女”を撮った一本だった。

1950年のハリウッド映画「イブの総て」をモチーフにしてるかもだが、息子を目の前で交通事故で亡くした医療専門職の女性マヌエルが、息子の死を行方不明になってる夫を探して伝えるために、バルセロナに旅立つ。
息子は舞台女優ウマにサインを貰おうとして飛び出して車に撥ねられたのだが、マヌエルはひょんなことからウマの付き人になる。
彼女は、ウマのレズビアンの恋人でヤク中の若手女優ニナ、性転換したゲイのアグラード、エイズになって妊娠した若いシスター・ロサとその両親、そして、今ではロラという名の女性になってロサにエイズを移した元夫(コレが面白い)、個性ある女性・元男性の女性たちに出会う中で生きる希望を取り戻すといったストーリー。

今でいうLGBTの人々の逞しいことったらない。それぞれ様々な危機を迎えるが、明るくユーモアある言動と行動力で乗り切って行く。一方的な性を捨てた本来の人間としての逞しさというか。

最愛の息子の死という悲しい出来事がベースにあるけど、時には図々しく、時には引いて身を隠して、同じようなアウトサイドの人間たちと交流していく中で、自分の存在を際立たせている。

昔ながらの保守的な頑固オヤジが認知症でボケてたり(この監督の映画には認知症の老人がよく出てくる)、同僚のフツーの男が元男性に「今日はイライラしてるから、フェラしてくれないだろうか」とヘーキで懇願したりする。ゲイを公言している監督らしい視点がとても面白い。

図太く肝が据わった強い主人公のマヌエルだけど、若いシスター・ロサがエイズで死ぬ前に産んだ息子を引き取って育てる流れは女性らしさが溢れてる。

登場人物はほぼ奇人変人だけど、ペドロ・アルモドバル監督らしい感動的な人間讃歌だね。

もし、ゲイの友達がいたら面白いだろうなぁ。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。