【古典邦画】「銀座化粧」
成瀬巳喜男監督の、1951(昭和21)年の作品「銀座化粧」。Amazonプライムにて。
主演の雪子は田中絹代だが、東京・銀座を舞台に、ダメな男に翻弄されつつも、それぞれ逞しく生きる女たちを描く。助監督は石井輝男なんだ。
昭和20年代の銀座のネオン街の風景、トルコ風呂(今のソープランド)や日本初のサウナ施設、マッサージをするサービスガールなどの風俗も映っていて面白く観れる。
成瀬監督って、女を主人公にしたドラマが上手いねぇ。メロドラマの達人だ。しかも時代背景を巧みに取り入れて。
銀座のバーで女給をする、幼い息子と2人暮らしの雪子(田中絹代)。
昔の男は今でも金の無心に来ている。
バーの同僚も、それぞれ男関係で悩みを抱えている。
ある日、雪子は、親友から頼まれて、田舎の資産家の息子石川の東京見物の案内役をすることになる。
石川は、今までの男と違って、とても好感が持て、雪子は彼との結婚を夢見る。
ところが、息子が迷子になったと連絡を受けて、石川の相手を妹の京子(香川京子)に頼んで、雪子は帰宅する。
息子は見つかったが、石川と京子はその間に親密になり、婚約の約束まですることに。
初め、雪子はショックを受けて嫉妬するものの、若い2人を祝福するのであった…。
常々、バーの同僚のグチを聞いてて、「男なんてケダモノよ」と言ってた京子が、星を見上げながらロマンチックに夢を語る石川と一緒に時間を過ごして、彼に惚れ込んでしまう、恥じらいの表情がとてもイイ。
雪子も、銀座を案内して回る中、カッコつけずに全てを純粋に受け止める石川に、年甲斐もなく、乙女のような表情になる。2人とも表情が豊かだ。
これまでのダメな男に対しては、肩肘張った逞しい生き方をしながらも、女としての礼節やカワイイは決して忘れないという、古い価値観の男はやはりくすぐられてしまうなぁ。
「藤村詩集」を「フジムラさんの詩集」とカンチガイするのは少々ワロタ。