【洋画】「ジャームス 狂気の秘密」

2007年のアメリカ映画「ジャームス 狂気の秘密(What We Do Is Secret)」(ロジャー・グロスマン監督)。Amazonプライムにて。

L.A.で最初のハードコアと言われる伝説のパンク・バンド、Germsの伝記映画。

Germsは「ジャームス」ぢゃなくて、絶対に「ヂャームス」である。微妙なダサさが良い味出してる。

ハードコアというよりは、L.A.のヘタウマ・ガレージ・バンドで、たった一枚の公式アルバムである“青い丸”の「GI」は、鋭くトンガった若さ溢れる危うさに満ちており、長らく俺の愛聴盤のひとつでもあった。

バンドの結成から、中心人物であるボーカルのダービー・クラッシュが、1980年12月に、意図的にヘロインのオーバードーズで自殺するまでを描く。

予想できるように、過激なパフォーマンスや熱狂的なファンの暴走で、出入り禁止のライブハウスが相次ぎ、ダービーは、酒とヘロイン漬けの日々を過ごす。

最初から、あまり練習もせずに、ヘタウマながらも、根源的な怒りに満ちた音とパフォーマンスは、後のグランジ・オルタナ・シーンに多大な影響を与えた。

アメリカン・パンクの原型を作った訳だが、過激な音とパフォーマンスとは裏腹に、ダービーの書く歌詞は、どこか深い孤独を感じさせて、映画ももの悲しい。BGMで流れるジョイ・ディヴィジョンの曲がピッタリだ。ダービーはLGBTQ、ゲイだったのだな。

ジョン・レノンが射殺される前日に「今夜、自殺する」と言って、友人と共に過剰にヘロインを打つことに。享年22。

ダービーの死は、ニュースで大きく報道されたが、翌日のジョン・レノンの事件でかき消される。

一気に爆発するように生きて死んだダービー・クラッシュ。まるでシド・ビシャスのようだが、孤独と自暴自棄の末に死んだとしても、彼らが残した、たった一枚のアルバムは、後のインディ・シーンを大きく変えたのである。

「君はロックンロールの自殺者だ…
君はひとりじゃない 僕のほうを向いてくれ
君は孤独なんかじゃない 僕と向き合ってくれ」byボウイ


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。