【邦画】「典子は今」

YouTubeで文部省推薦の映画を観た。「典子は今」(1981年)。

監督は、高峰秀子の夫、松山善三。高峰秀子も演技指導他で参加してる。

生まれつき両腕が欠損したサリドマイド病患者の辻典子氏の半生を描く。

本人が出演し、障がい者の社会参加ということで当時、話題になったよねー。

彼女は、熊本だったんだなぁ。

義務教育を終えて、一般の高校も卒業、難関の公務員採用試験も合格し、熊本市役所・障害福祉係の窓口担当となる。

不眠症に悩んでいた母親が、妊娠中に服用した睡眠薬の副作用で両腕がない典子が生まれたわけだが、母親はもとより、学友など周りの助けもあって、特別に不自由することもなく、日常生活を送っている。

彼女は、手の代わりに両脚を器用に使って、ほとんどのことをこなす。

父親は、両腕の欠損した赤ちゃんを見てショックを受け、すぐに蒸発している。熊本の保守的な男なんてこういうものだ。

典子は、手紙をくれた同じ障がい者の女性に会うため、初めて独りで旅行に出る。駅や電車、雑踏で、勇気を出して見知らぬ人たちに声をかけて、できないことを手伝ってもらう。手紙をくれた女性は好きな男にフラれて自殺した後だったが、彼女の、兄(なんと三上寛!)と母親と3人で楽しい一夜を過ごす。

典子が、ここに至るまでには、好奇な目で見られたり、差別を受けたりしたと思うけど、そういう場面は出てこない。教育映画の位置付けだからか。

典子も腕がないことを自らユーモアにしたり、とにかく前向きで明るい。

ラスト、船から海に飛び込んで両脚だけで泳ぐ典子を観た時は、俺も感動してウルウルきちゃったよ。

社会の成熟とは、健常者でも、できなきゃ助けてもらうが当たり前になることだ。手脚の欠損や麻痺は、個人的に苦悩はしても、社会ではそれを感じさせないように。

できなきゃできることをやれば良いし、まずは、典子のように障がい者の方から、臆することなく積極的にコミュニケーションを取ることだと思う。健常者では気付けないことも多いから。

俺の右片麻痺は、右脚はまだちょっとでも使えるが、右手はあってもほとんど使えない。何かを支えるくらい。でも、今では左手一本でほとんど大丈夫だ。人間やろうと思えば、なんとかなるもので、最初の一歩を踏み出せないだけだと思う。

現在、典子(白井のり子)61歳は、執筆や講演活動をしてるようだ。結婚して子供もいる。熊本にいるのかなぁ。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。