「召使」
「召使」(The Servant)。ジョゼフ・ロージー監督。
上流階級の独身男が、真面目そうな召使を雇うことに。召使は「妹にも仕事をくれ」と主人を騙して、妹と称した婚約者を家に連れ込む。婚約者は主人を誘惑する。ある日、召使は、主人の留守中、主人のベッドで婚約者と戯れてたのを目撃され、クビにされるが、程なくして、また戻ってくる。召使は、今度は主人と同等の友達みたいな関係になると、全てを支配していく…といったストーリー。
一見、サイコサスペンスな展開だが、じゃあ、最後に、召使は完全に主人のモノを乗っ取ったのかというとそうではない。召使が家で勝手に開いたパーティで、酔っ払った主人が怒り出すと皆を帰すし、ケンカしながらも、「俺とお前は良い友達だ、一緒にいると頑張れる」というし、なんか中途半端だ。ゲイに近いけどそこまで親密なところは出てこない。
思えば主人の仕事も、ブラジルの開拓で都市を作るなんてインチキくさいものだし、召使も連れ込んだ淫乱女に騙されてたし、どうしても惹かれ合ってしまう2人の、お互いを意識したプラトニックで破滅的な同性愛みたいな感じだ。
時折、意味を含んだ場面が出てくるが、本当に意味があるのかもはっきりしない。大きく見て、英国貴族の青年が、一人の召使の男によって没落していく様を描いたものといった方が良いかもしれない。何度もいうけど、ただそれがイマイチはっきりとしないのだ。ちょっと後味の悪い映画だ。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。