「MINAMATA」

先日観た映画の基になった写真ブックが地元図書館にあった。

前に、市内で「水俣病展」が開催された時、親に見に行くと話したら、「あの人らは補償で儲けとるんじゃろ」と言われ、今年、福岡でも開催されることを弟に話したら、「伝染病だろ?あんなの見てどうする?」とイヤな顔をされた。

コレが、日本の環境汚染と、それを生み出した高度経済成長やムラ社会、人間の本質を象徴してるような気がする。

ユージン・スミスと妻アイリーンのモノクロ写真は、水俣病で苦しむ市民たちと、チッソ側の人間、双方に肉薄して、それぞれの立場を超えて、人間の本質そのものを写し出している。

その時の表情、思い、肌の質感、シワ、産毛、汗、涙、テカリまで、光と影の中に晒して。

訴えかける写真とはこういうものだろう。だから、写真を見る側にも、豊かな感受性や想像力、つまり、写真の奥にあるものを読み解く力が必要となってくる。

コレは、様々なイデオロギーを超えた、人間そのものの重厚な写真集だ。

今や、世界的公害病は、ひとつの文化、学問(水俣学)となってる。負の遺産ではあるが、人間の社会的営みの側面を知るという意味で。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。