「社長って何だ!」を社長にならない人向けに紹介します。
社長って何だ! (講談社現代新書) https://www.amazon.co.jp/dp/4065173736/ref=cm_sw_r_cp_api_i_h-CrEbWQTMKPM
要約
本書でズバリ言いたいことは、社長とは
お金儲けでは務まらず。内外の関係者に義理人情をもって接し、多くの苦難と立ち向かい、大きい器で未来をイメージできる人である。
第1章~6章で構成されており、第1章は社長として孤独と覚悟、第2章は資質と能力、第3章は報酬と使命、第4章は自戒と犠牲、第5章は信頼と統治、第6章は後継と責任という内容で進めている。
全章を通じて、社長でないと感じえない苦悩や葛藤が描かれており、決して楽をしているというイメージとはかけ離れている。
私なりに、社長にならない人向けに心にとめておく大事なポイントをまとめているので是非、最後まで見ていただきたい。
以下、ポイント絞ってます!
第1章 孤独と覚悟 攻めと守りを同時に行う
◉決着をつけるときの鉄則
辛抱しきれずに動いた方が負け。いざと言うときには動いてはいけない。
◉ビジネスで決着をつける時の鉄則
決断をするときに最も頼りになるのが、「世間の常識」です。人々の暮らしに根付いた声にできるだけ耳を傾けます。
◉お金は追いかけると逃げていく
「お金を追いかける」というのは、常にお金中心に物事を見て、お客様や世間にも益となる「三方よし」の精神もなく、自己の利益になるかどうかの損得勘定だけで判断することです。
第2章 資質と能力 畏れを知るべし
◉二重人格者であれ
わかりやすく言えば、エリートや有名人とも、人が嫌がるような人とも付き合うことができなくてはいけない。
◉どんな人間とも付き合う
人の性格はきめつけられないということ。自分の性格を決めつけてしまう傾向がある。教育・読書・友人で性格は変わる。
人間がもっている才能など大して違いはありません。なりたい人間になる努力すればできる可能性がある。
◉愛され、かつ恐れられよ
「理想のリーダーは愛され、かつ恐れられる存在である」
嫌われるのが怖いのは自信がない証拠です。そんな腑抜けの上司ばかりでは、成長できる部下も成長できません。
部下を叱る時は、人間理解を基礎にして臨機応変によく考えることです。
◉最善の時に最悪をイメージする
リスクを最小限に抑えるために、社長はいつも周りとは反対のことも考えなければなりません。
相場の世界は極めてシンプルな原理があります。それは「上がった株は必ず下がる。下がった株は必ず上がる。」という市場の力学です。
◉人のいく裏に道あり花の山
「人のいく裏に道あり花の山」という投資の世界で知られた格言があります。その後に「いずれを行くも散らぬ間に行け」という言葉が続きます。千利休が詠んだという俗説あり。
「美しい桜を求めて山に行くのなら、多くの人が行く場所よりも誰も行かない裏道を行ったほうがいい。しかもきれいな花が散らない間にいくことだ」という意味。
獲物を天下の大道で捕まえれば、みんな殺到するので分け前はわずかです。裏道で捕まえれば独り占めできます。
相場の世界に換言すれば、「他人と同じ売買を行っている限り大きな利益は得られない。他人の裏をかけ」という教訓になります。
人が我慢できる年月は大体決まっていて、4年から6年です。
同じ頃に「もうダメだ(もう底値だ)となります。しかし、みんなが「もう底値だ」と思っている時は、誰も売らないから「まだダメ」です。「もうはまだなり」と言います。「まだ大丈夫、大丈夫」と思って売らずにいると、手遅れてになって「もうダメ」です。「まだはもなり。」人間の心理はそう簡単には推し量れない。
つまり「みんなと同じようなことをするな」と付和雷同を戒めた言葉。
◉自分が未熟であることを知る
謙虚で有り、畏れを知る必要あり。
自分は物事を何も知らないということを自覚していること
頭で理解していても、なかなか難しい。
経営者は未熟者で学ぶべきことは数限りなくある。無知で未熟な自分を自覚するためには、まず人間がどういう生き物かを正確に知ること。
◉世間の常識を知らなければならない
◉現場に行って目と耳で確認する
「すべては現場に宿る」という言葉を大事にしてきた。
◉企業の将来性を見抜く
アリババを現場をみて、壁一面に巨大な世界地図が掲げられ、各拠点の情報を集計して、その地域で販売している製品の販売数が刻々と表示されている。この会社はすごい。現場を見ることは正確な情報を掴む第一条件。
◉ザッカーバーグとIBMの動きの底流を察知する
GAFAが人材確保と育成に力を入れているのが「リベラルアーツ」の分野。未来を想像できる教養やセンスを持った人材。
◉撤退する勇気の重要性
2020年問題として、不動産暴落があり、現在の建設ラッシュは社長自身のリスク回避、自己保身の一面がないとは言えない。
相場の世界に「見切り千両、損切り万両」という格言があります。優れた経営者や成功している起業家は「早期撤退はビジネス の基本」であることを知っています。
◉常に時々のベスト判断を目指す
毎日、その都度その都度、ベストの判断をして実行する。これが最近、志している私の生き方です。ベストジャッジを毎日すると、いざ闘いになった時、負けても勝っても悔いが残りません。
◉反省も後悔もしてはならない
日々ベストを尽くしていれば、後悔することはありません。イチローの「球場であんなものを見せられた、後悔などあろうはずがありません」 逆に言えば、後悔や反省にはそれなりの意味しかないということです。
私達ができるのは、「しまった」と思わ内容に、毎日を生きることです。自分のベストの日々の積み重ねが自分の実力になるのです。
だから私はトップの条件として「忘れる」ことを挙げます。過去は振り返らない。
◉孤独に負けない
社長というものは孤独です。相談する相手は1人もいない。孤独が人を強くもします。「社長が孤独でなければ、その会社うまく回っていかない」というのが私の信念です。必要なことだけを話し、肝心なことは黙して語らず。「孤独に負けない」とはそういうことです。
◉強い心で弱者の立場に立つ
孤独に耐えるためには、強い心が必要です。社長の絶対的な条件の一つに、私は「強い心を持つこと」を挙げます。
絶対に負けないぞ。負けてたまるか。何があっても断固としてやり切る、自分の価値観を絶対に守るという強い精神力を持たなければ、激動の時代に次々に向かい来る困難を潜り抜けることはできないでしょう。
私の人生に一貫しているのは、権力に対する反発心と弱者に寄せる思いです。 リーダーは常に弱い者の立場に立たなければいけません。
◉「清く正しく美しく」生きる
一つ目は、生き方が誠実であれ、二つ目は嘘をつくな。三つ目は方向性を間違えるな。
収入が増えるに従って幸福を感じるのは、大体年収700万〜800万までです。それ以上はいくらお金があっても幸せには感じられないそうです。裏返せば、それまでは一生懸命働いて貯金して、欲しいモノがが買えた時には、胸いっぱいの感動、感激があるということです。
◉実現不能な高みに近付け
嘘をついて近道しようなどとせず、誠実に仕事に取り組むことです。苦労して困難を乗りこけて何事かをやり遂げた時こそ感動、感激が得られます。
第3章 報酬と使命 社長で稼ごうとは思わない
◉お金では買えない価値を見直す
人は仕事によって磨かれます。仕事で悩み、苦しむからこそ人間的に成長するということです。
第4章 自戒と犠牲 ビジネスは義理人情で動く
◉何事も一流に触れよ
「社長は一流と接しなければいけない」
一流と接することは、「普通の暮らし」から乖離することとは違います。
なるべく一流と接する機会を増やしてください。
◉世界の真のエリート寸暇を惜しんで勉強をしている
あるアメリカ人のトップエリートと非常に親しくなって、自宅に招かれた際、彼の書斎に入る機会がありました。机の上にも周りの絨毯の上にも、足の踏み場がないぐらい仕事の書類が積み上がっています。読みかけの専門書が何冊も並んでいました。
そこで痛感した。「これじゃあ日本に勝ち目はないな」「欧米のビジネスマンは早くに帰宅して、家族との団らんを満喫して」などとイメージしているとすれば、大間違い。大企業の経営が成り立つわけがありません。彼らが早く帰宅するのは、家族のためでも趣味のためでもなく、勉強するためです。経営幹部ともなれば博士号を持つ人もいて、もはや経営学の学者と言ってもいいほどです。
社長は寸暇を惜しんで勉強しなければなりません。私は読書を薦めます。読書は自分の思考能力を高め、論理的な思考や想像力を鍛えます。
◉健康管理は継続が大事
仕事で犠牲になりがちなのが健康です。
毎日絶対に歩くようにしました。そういう生活をしているからこそ社長業が務まったと思います。
◉他人に過度の期待はしない
第5章 信頼と統治 人のつながりが不祥事を防ぐ
◉過度な成果主義の弊害
信頼関係とコミュニケーションなんて拍子抜けするほど古風で迂遠な手段のように思えるかも知れませんが、結果的にこれが不正やトラブルの発生を事前に防ぐ最も有効的な方法です。 現場の異変をいち早く察知するために その段階でも部下との直接対話を重視 他人と対話を続けていけば、こうした思い込みをその都度正したり補ったりすることができます。異なった視点から学ぶこともまた多いのです。
◉正義が勝つとは限らない
単独で行動してはいけません。自分を支持してくれる上司に相談し、ともに動いてもらうことです。それは自分の思いを実現する必要条件です。
◉真実を語る「諫言の士」を持つ
自らの地位や待遇が不利になることを顧みず、会社のことを考えて、「これはおかしいですよ」と真実を告げる「諫言の士」です。特にトップに必要!
◉良いときは三分の一、悪いときは三倍に
私の人生哲学です。成功して周りから声援と拍手を受けても調子に乗らず、「まあまあ勘弁してください」と喜ぶのは三分の一程度にしておく。逆に間違いを犯して謝る時は、自分が十分と思う程度の三倍は謝った方が賢明です。 人間は妬みや憎しみを抱えた、残酷な生き物です。そう言う人間理解に基けば、自分の気持ちを正しく伝えるためには、相応の配慮が求められるということです。
◉嘘は必ずバレるもの
嘘は人生を暗くし、会社を暗くする。そして社会を暗くします。組織のトップが胸に刻んでおくべきことです。
第6章 後継と責任 「社員の喜び」こそがリーダーの感激
◉人の心を変えれば組織が変わる
権限委譲も人材育成のポイント 志を高く持てるのは、自分に責任があると思うからです。その際は全権を委ねることです。一つの仕事を完遂させ、報告させ、徹底的に任せる。そうして経験を積ませる。必要なのは、苦労の末に成功したときの達成感と充実感を一度体験させることです。
◉自信過剰が生む裏切り
リーダーが一番落ち込むのは、「これは信頼できる」と思っていた部下に裏切られることです。 リーダーが絶えず肝に銘じるべきは、権力を持つ者が誤りを犯す前にできるだけ早く身を引くということです。
◉人間らしく生きるためのサムシング・グレイト
自分以外の全ての人間が無意識のうちに自分を見ている。だから悪いことをしてはいけない。そう信じて、決して嘘をつかず、誠実に、一所懸命に努力する。社長はにんげんです。
おわりに
社長は「自分の器」以上に会社を大きくできません。社長の器が大きければ、それだけ大きな事業を考えるように思えます。
目先のことばかりではなく、国の将来、国の姿を忘れることなく、情熱と意欲、大きな心と志を持って正面から挑戦することです。リーダーが自らまず、今までやったことのない何か新しい一歩を踏み出す勇気を持って決断し、実行することです!
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