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WCSポケモンGO部門観戦者向け解説

はじめに

WCS2022にてポケモンGO初の世界チャンピオンが決まります。今回はそれを見届けるにあたってどんなところが見どころなのか語っていきます。

まずはPJCS前に投稿したこちらの記事でゲーム内容等について簡易的な解説を行っているのでご覧ください。

リンク先開いて読むのめんどいって人向けに本当に短くまとめておくと、
①トドゼルガが最強という環境
②初手選出が大事
という内容です。

ここからはWCSとJCSで何が違うの?という話とそれを踏まえた見どころについて話していきます。

JCSとWCSの違い

JCSとWCSの違いは大きく分けて4つ。
大会形式の違いとルールの違いと使用可能ポケモンの違い、そしてTPEの消去です。

①大会形式の違い
JCSではスイスドロー→トーナメントという形式でしたが、今回のWCSではなんとポケモンでは珍しく全体通してのダブルエリミネーショントーナメントになっています。
ダブルエリミネーショントーナメントとは、勝者側トーナメントと敗者側トーナメントに分かれて、全員まず勝者側からスタートしてトーナメントを進めていき、負けた人から順次敗者側トーナメントへ移行、敗者側トーナメントで負けたら敗退、つまり合計2敗したら敗退という形式の大会です。
最終的に勝者側の決勝で負けた人と敗者側で最後まで勝った人で敗者側の決勝をして、そこでそこで勝った人と勝者側の優勝者でグランドファイナルを行います。グランドファイナルでは勝者側が勝てばそのまま優勝、敗者側が勝った場合もう1試合行います(2人とも敗者側となりグランドファイナル2になる)。
トップカットと呼ばれるのはベスト8からですが、この時勝者側が4人、敗者側が4人になります。

②ルールの違い
基本的に試合はJCS同様BO3で進んでいくのですが、トップカット以降はBO5になります。
これは結構違いがあると個人的に思っていて、BO5の後半では初手の読みあいが理外のリスクを背負うことも視野に入るのでワンチャンすごいものが見れるんじゃないかなと期待してます(後で詳しく書きます)。
ちなみに海外の予選大会はトップカット以降BO5で行われているため海外の出場者はほとんどBO5経験済みであり、ここは日本勢には不利になりうるポイントだと思っています。

③使用可能ポケモンの違い
ポケモンGOはまだ続々と新ポケモンを追加している最中なので、JCS以降にポケモンが何種類か追加されました。
そちらも一部を除いて参加可能なので、一応微妙に環境は変わっています。

追加されたポケモンの例*()内は新技習得や補足
・サザンドラ(ぶんまわす)
・ジヘッド(コミュニティデイによりしっかりとした厳選が可能になった)
・ムクホーク(かぜおこし)
・ヒスイハリーセン
・ヒスイニューラ
・デンヂムシ(スーパーリーグにおいてはクワガノンの完全上位互換)
・タチフサグマ(ブロッキング)

この中で影響が大きそうなのはデンヂムシ(真面目に言ってます)で、意外と現環境に刺さっているため1人くらいは連れてくるかもと思っています。

④TPEの消去
JCS後にTPEというバグ技がとうとうなくなりました。めちゃくちゃめでたい。直せるならもっと早く直してほしかったけど。
TPEは、相手のノーマルアタックを撃つタイミングと自分のスペシャルアタックを撃つタイミングが一致した際に、本来の挙動としてそのノーマルアタックが1回分無料で当たる(この挙動を差し込みと呼ぶ)はずなのに、それが発生しないというバグでした(ちなみに意図的に引き起こせます)。
TPEがなくなったことは対戦に大きく影響を与えていて、ざっくり言うとノーマルアタックでダメージを大きく出せるポケモンの評価が上がり、相対的にノーマルアタックの火力が低くスペシャルアタックが強いポケモンの評価が少し下がりました
実際GBLではこの修正後シャドウウツボット(ノーマルアタックの火力の代名詞とも呼べるポケモン)を採用したパーティの使用率が多く伸びており、WCS環境にも影響を与えると考えています。

見どころ

①珍しいポケモンたち
まずJCSの記事でも書いたように普段のVGCで見ないポケモンがたくさん出て活躍するのはやっぱりポイントです。
上記でもデンヂムシが強い、環境に刺さっているなんて話を書きましたが、特性のないゲームで大真面目にデンヂムシが対戦で強いというのはこのゲームの最高に面白いところだと思います。

②メタ外の活躍
そしてやはり同様にメタ外のポケモンが活躍するところも見どころです。
JCSでもメタ外のポケモンが何度か配信に映り、活躍しましたが、WCSでも世界中のプレイヤーが頭をひねって持ち出したメタ外ポケモンがどこかで見られると思います。
メタ外のポケモンは当然刺さるからこそ連れてこられているため、選出され活躍するシーンは必ずどこかで見られると思います。盛り上がりポイントなので要注目です。

JCS予選の際のKP表

(大体この表の中にいないポケモンが活躍しているのは盛り上がるべきシーンなので事前にチェックしてある程度覚えておくといいでしょう)

③選出択
そして最後は選出択です。
出し勝ちが大事なゲームである以上本質は本編のゲームで言えばシングル61に近い部分があり、配信で選手が何を考えているかについてある程度こちらで想像できるとより面白くなると思います。
以下にBO5での選出の例を出しておきます。少し難しい話になる上個人的な憶測と持論を置いてるだけなのでよくわからないようであればまとめっぽいところまで飛ばしてください。

EUICというダブルエリミネーション大会でのグランドファイナルの選出は以下のようになっていました。

勝者側の選手のパーティ
オーロット・チャーレム・レジスチル・マッギョ(ガラル)・トドゼルガ・バルジーナ
敗者側の選手のパーティ
オーロット・チャーレム・レジスチル・エアームド・マリルリ・ヤミラミ

1試合目
W側バルジスチルオーロット
L側ムドーチャレスチル
W側勝
2試合目
W側オーロットガラマバルジ
L側ヤミラミマリルリスチル
L側勝
3試合目
W側トドオーロットバルジ
L側オーロットムドースチル
W側勝
4試合目
W側バルジオーロットトド
L側チャレムドーヤミラミ
W側勝

この試合でおそらく一番大事であったのは、敗者側の選手のパーティは単体でオーロットに強いコマは一応いるものの、ゴーストタイプ自体は一貫しており、相手の起点を作ったオーロットを受けることが不可能であるという点です。
実際に勝者側の選手はすべての試合にオーロットを出しており、敗者側の選手はオーロットがどこに出てくるかを的確に当てつつ初手で出し勝つことが要求されていました
当然このような要求をされる側は基本的に不利であり、見事オーロットの所在を当ててかつ初手で出し勝つことができた2試合目以外、すべて負けることになりました。
1試合目と3試合目は特にその本質が出ています。
1試合目では敗者側の選手はバルジーナにエアームドで出し勝ちしたものの、相手の裏にいるであろうオーロットに対してこちらの裏が勝てないことから先に交代を選択することになり、結果対面を失って逆転されてしまっています。勝者側の選手が出し負けても捲れるパターンをオーロットを軸に作れるため、敗者側の選手にとってきつい展開になりやすく、じゃんけんが公平でなくなっているというわけです。
3試合目では、敗者側の選手が1試合目2試合目を踏まえて初手に鋼タイプで裏にオーロットバルジーナを置く(&たとえ初手オーロットでもミラーにすれば最低限不利にならない)と読んでオーロットを初手に合わせに行ったところに、勝者側の選手がトドゼルガという今まで見せてなかった択を持ち出して初手出し勝ちにし、結果的にオーロットの所在を当てていたことを無に帰しました。

この3-1という結果は、勝者側の選手の選出のうまさもさることながら、似た構造のパーティ同士の対戦の中で起点を得たオーロットが受かるか受からないかの差がパーティ相性上大きかったことによるものだと思われます。

当日は解説もあると思いますが、試合を見る際はまずこのように「お互いのポケモンのうち何が一番どのように刺さっているか」を理解することが選手の思考を追う上で大事になってきます(ただこの把握は結構難しいことなので、基本的にはポケモンGOに詳しい人と一緒に見ることをお勧めします)。
特に今回の例におけるオーロットのように「3体に強く、1体に互角、2体には不利だがそれもシールドや起点次第で倒せる」くらい刺さっているポケモンがいる場合、そのポケモンは間違いなくお互いの思考の軸になります。
刺されている側はどうやったら不利を覆せるのか、刺している側はどうすれば一番覆されないのかという思考になって、基本的にはやはり刺している側が主導権を握ります。

そして私が個人的にそういう場面で期待しているのは、上記の例で言うところの3試合目のような場面でオーロットもバルジーナも両方無視して初手にチャーレムを置くレベルの一点読みを通すところです。これが最初の方で述べた"理外のリスクを背負った読み"ですね。
これは決まったら実況解説でめちゃくちゃ盛り上げてほしいですね。WCSの舞台でBO5もあれば余裕でそういう場面もありそうなので、今からワクワクしています。

終わりに

今回選手として行けないのは残念ですが、初のポケモンGOの世界一を決める公式競技大会ということで、配信をとても楽しみにしています。

日本勢は全員応援していますが、特に個人として応援しているのは一緒に考察や練習をしたはりゃんさん(@hryan_poke)です。

シングル61を原作でやりこんでいたタイプの人なので、選出が本当に鋭く、またJCSではルカリオというメタ外のポケモンを存分に活躍させて注目を集めました。
今大会最高のプレイヤーの一人だと思うので、良ければ皆さんも応援してください。

#はりゃんWIN

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