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魔法の杖はないけれど。

「〇〇さんみたいな説得力にある文章が、なんで書けないんだろ……」
「△△さんみたいにXXの観点から話せないんだろ??」

27歳で転職して入った大手企業。
周りは有名大学、大学院を卒業した有能な人ばかり。

その頃の私はいつも人と比較しては焦っていた。
そして自分に足りないものを埋めるためのスキルやテクニックを
探し続けていた。

ロジカルシンキング
プレゼンテーション
コーチング
ファシリテーション
財務

「これさえ身につければ私も〇〇さんみたいになれる」
そんな淡い思いを抱いて講座に入るけれど、
○○さんのようにはなれない。

「まだ□□が足りないのかも?」

そしてまた、
新たなスキルを追い求める。

思い返してみると、会社員時代はこれを
繰り返していた。

私は自分を一瞬で有能に変えてくれる
魔法の杖が欲しくていつも探し回っていたんだ。

・・・・

そんな生活を続けていた時、ご縁から書籍「7つの習慣」を読む機会があった。
そこにはこんな一文が書かれていた。

「スキルやテクニックの前に、
心の奥底にある動機・見方を変えることが重要だ」

なんとなく引っかかる文章で、頭の中から離れない。

学ぶ動機や、自分の物の見方を理解してから、
スキル、テクニックを学んだり使ったりすればいいってことかな?

そう思って、自分自身に問を立ててみた。


なんのためにそのスキルは必要なのか?
自分をどう見ているからスキルが必要だ(もしくは足りない)と思うのか?


自部署のチームみんなが気持ちよく仕事をするために必要!
私は□□が弱い(足りない)から必要だよね。

心で自問自答しながら社内を見ると、
楽しそうに仕事をしている同僚の姿が……。
あれ?みんな気持ちよく仕事してる。。

それどころか、
「藤田さんはミーティング前に目的を明確にしてくれるから助かります」
「質問して引き出してくれるからアイディアがでてきます」
そんな言葉をいただくことも…‥。

誰も私を「□□のスキルが足りない」なんて思っていない。
思っているのは自分だけ……。

チーム内のコミュニケーションも円滑で
むしろ頼ってくれている。

「あれ?できてるじゃん」

〇〇さんのように、、と思っていたけど
見方を変えれば、私が苦手な部分は〇〇さんが得意だからやってくれていたし、
私は私の得意なところでチームに貢献できていた。

物の見方が変わって、足りないという欠乏感が埋まっていった。
代わりに安心と小さな自信が生まれていた。
私はチームのためにできるスキルがちゃんと「ある」

それに気が付いてからは
スキルよりも、今は目の前のチームに、仕事に
もっと集中しようと自然と思えるようになった。

そうして欠乏からスキルやテクニックを身に付けるための
私の講座探しの旅は終わりを迎えたのだ。

・・・・

「足りない」という思い込みは麻薬のようだと思う。
その思い込みからスキルやテクニックを身に付けても
満足できずに「もっと」「もっと」と求め続けてしまう。
際限がない。

スキルやテクニックを身に付けた時に感じる
自分の価値があがるような高揚感、
それを求め続けてしまうのかもしれない。

だからこそ、その前の部分、
「心の奥底にある動機・見方を変えること」がとても大切だ。

問いを立て見ると、今までと違った自分の姿が見える。
元々持っている力がたくさんあることや
そのままで自分はとても素晴らしいことに気が付くかもしれない。
自分には「ある」と気づけた上であれば、
スキルやテクニックを学んでも、
「もっと」「もっと」になることはないし、
学んだことをどんどん活かしていくことができるのだと思う。

探したけれども魔法の杖はなかった。
けれど、自分の思い込みを変えることで
自分に「あるもの」に気づき、
自分を変えていくことはできるのだ。

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