3兄弟の真ん中です(4)
↑前回まで
×××
散々やらかして怒られての毎日だったが、じっちゃんからはほとんど怒られたことがない。
それどころか、兄妹のなかで一番目をかけてもらったといっても過言ではない
じっちゃんはタバコを吸う。今の時代では考えられないけど、家族全員のいる居間ですぱすぱと結構吸っていた
フサフサな白髪でけっこうな男前で基本的にはまったく怒らない
なんの仕事をしているのかよくわからない人で、たぶん林業的な仕事をしていたと思う。
火曜日の夕方、私が学校から帰ってくると愛車の白い軽トラに週刊少年ジャンプを一緒に買いに行ってくれた
マンガをめちゃくちゃ買ってもらった。隔週のガンガンに、サンデーコミックスの「YAIBA」に数えきれないくらい買ってもらった
それでたまにお菓子も買ってもらって、帰りの車の中で一緒に食べながら帰った
今考えると、私の「自己肯定」だとか「自己受容」だとかのタネは、きっとじっちゃんに植えてもらったんだろう
このタネがなかったら、確実にいまよりも卑屈だったし、いまだに劣等感とかと戦ってたかもしれない
小学校の理科の授業でガスバーナーに火をつけて、酸素を取り込んで「青い炎」にした。じっちゃんのイメージはあの「青い炎」だった。
静かで、安定していて、ほんのり青く光って、でも本当は熱い
言ったことはないかもしれないけど、格好いいなと思っていた
あとから聞いた話では、昔からあんまり働かない人だったらしいけど・・・
晩年は痴呆なのか更年期障害なのか、記憶が飛び飛びになり感情が不安定で、よく皿やらリモコンやらを投げたり、怒りに任せて叫んだりしていた
初めて人の死を見たのもじっちゃんの時
自分でも不思議だったのだけど、意識のない病室でも涙が出ず、死に際の病室でも涙が出ず、通夜でも葬式でも涙が出なかったのに
なぜか火葬の火がついた瞬間に「じっちゃんが死んだ」ってことで頭がいっぱいになって泣いた
涙がずっと止まらなくて、仕方がないからトイレの個室にこもって泣き続けた
1時間弱くらいトイレにこもって出てきたらちょうど火葬が終わったころだったと思う
なんだか気持ちがスッキリしてたし、じっちゃんも骨だけになってスッキリしてた
それ以来、同居している家族の死を見ることは幸いなことにまだない
×××
締め方がわからなくなったからここで無理矢理おわります
久しぶりにじっちゃんの事をしっかり思い出した。いい思い出ばかりだし、泣いたときのリアルな感情も思い出した。自分の原点ともいえる記憶だ
感謝
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