あなたはどうありたいですか? ーAgencyとReadinessについて考える。
いきなりですが、
「あなたはどうなりたいですか?」
小さいころは、消防士?最近だったらYouTuber?
それとも、大金持ちやオリンピックで金メダルでしょうか。
多分、遠い未来に「成功した」姿を思い浮かべていたことでしょう。
でも、この質問だったらみなさんはどう考えるでしょうか。
「あなたはどうありたいですか?」
どうありたい、幸福でありたい、元気でありたい、人を大切にする人でありたい。
どんな存在(being)でありたいか。考えたことはありますか?
今日は様々な「学び」が目指すことについて考えたいと思います。
TCSワークショップ「エージェンシーを育むアセスメント」
わがTCSのローレンス・ソヒ校長がリーダーだった今日のワークショップ。
そこで紹介されていた「Agency」のコンセプトを聞いて、色々なことを想像しました。
“Agency”とは、OECDのEducation2030におけるキーワードで、
そのConcept Noteには下のように書かれています。
Student agency is thus defined as the capacity to set a goal, reflect and act responsibly to effect change.
Agencyは(内的にも外的にも)変化を巻き起こすことを自分ごととして捉えて、ゴールを決めて振り返りながらも動き続ける力をもっていること。
だと、されています。さらに詳しく、下記のように書かれています。
Student agency relates to the development of an identity and a sense of belonging. When students develop agency they rely on motivation, hope, self-efficacy and a growth mindset (the understanding that abilities and intelligence can be developed) to navigate towards well-being.
Agencyは主体性(sense of belonging)や自己認識の発達に関係している。子どもたちが「エージェンシー」を伸ばすことができたとき、モチベーション、希望、自己肯定感やしなやかマインドセット(自分の能力と知能は伸ばせると信じていること)にもつながり、そして「ウェルビーイング(身体的にも精神的にも幸福であること)」へと導くのです。
Well-being、つまり、身体的にも精神的にも「より良き存在」であり続けることにAgencyは深く結びついているのです。
Well-beingの設計はできるのか?
ウェルビーイングの設計論ー人がよりよく生きるための情報技術では、
情報が過多になってしまう現代の抱える問題を
「より良き存在」であり続けるために、テクノロジーに何ができるのかを書いています。
「ポスト真実」時代と呼ばれたり、
「不確実な世の中」と呼ばれたり、
「答えのない時代」
「クリエイティブに生きていかなければいけない」など、
様々なことが叫ばれていますが、社会の動きをつくりだしている運動の一つとしてあげられるのは、テクノロジーの発展によって人と社会と情報が変化する速度が飛躍的に上がっていることが挙げられるでしょう。
そんななか、日本の教育も変わろうとしています。
Readinessを追い求める日本の教育
最近話題の入試改革。そして2020年より開始される新学習指導要領。
未来の教室 LEARNING INNOVATIONなど、文部科学省のみならず経済産業省の協力も得て、日本の教育も世界に向けて大きく変わろうとしています。
そして、日本の教育政策の多くは「Readiness」を目指して作られています。
未来は「不確実である」「答えが一つではない」
だからこそ、その不確実性に打ち克つための創造性や問題解決力を高めることを目的としています。
別の言葉を借りるならReadinessは「成功するための準備」とも言えるでしょう。
そして、その先には不確実な未来での「成功」特に経済面で、
社会の中で必要とされる人になることが強調されています。
プログラミングも英語も、協働性も、対話も、
いずれも、社会で活躍する人を育てることを目的としています。
何を目指すのか?
経済的な成功を目指すこと、つまり社会に必要とされる人になるということは、Well-beingに繋がる場合もあれば、逆にそうでなくなってしまうこともあります。
量的なものとしての「成功」と質的なものとしての「ウェルビーイング」
そういえば、「サクセスストーリー」はきくけど、
「ウェルビーイングストーリー」は聞かないな、と思いながらも、
これからもAgencyについて考え実践してまいりたいと思います。