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VoC経営 実践編:お客さまの声を”フレーズ(何に対するどんな意見か)”で捉えることがタイセツ

私たちInsight Techは「声が届く世の中を創る」ことを目指し、主にVoC(Voice of Customer)データの活用を通じた企業・団体のビジネス強化をご支援しています。

例えば、コンタクトセンターに蓄積された沢山の対話ログをビッグデータとして捉え「そこに隠れている優先課題や事業機会」を客観的に見つけ出せる「アイタスクラウド」などを多くの企業にご提供しています。

今日、このnoteでは、お客さまの声を”フレーズ”で理解することの大切さについてお伝えします。自然言語処理技術を活用してお客さまの本音を把握しよう、と言うお話です。

「単語」集計では分からないコト


例えばコールセンターに寄せられる声やNPS調査に記されたコメントを分析するミッションを持つ皆様との意見交換のなかでよく話題になることがあります。

「単語ランキングが分かってもどんな意見が多いのかが分からない」というご意見です。

例えば、「今月は「私」、「申し込み」という単語が増加しました」と言われても対応を導くことは難しいのが実情です。

私たちはこの問題に対処すべく、「何に対して、どのような意見が言われているのか」を【意見タグ】として抽出する技術を開発しました。裏側には日本語の文法を理解する技術(構文解析・述語項解析)が作用しています。

下図のように、単純な単語集計ではなく「ウィンカーの位置を見直してほしい」といった具合に意見の要旨が分かるデータ処理が可能となります。

私たちが提供する顧客の声活用文章解析AIツール「アイタスクラウド」では、この技術を活かし、単純な単語ランキングではなく、「意見の対象(何に対する意見なのか)」の部分だけを抽出した集計結果をダッシュボード上で確認できます。これをみると、どんな話題が顧客から寄せられているのか一目瞭然です。

加えて、「何に対して、どのような意見が言われているのか」を【意見タグ】として出力、集計結果を原文と合わせて確認可能です。

以下のランキングを見れば、「保険料が高い」とのご意見よりも「保険料が分かりにくい」とのご意見が多いことが分かり、「保険料を分かりやすく」という打ち手に繋げることが可能となります。

つまり、「何に対してどのような意見があるのか」を理解することにより「単語」集計の限界を超え、課題理解・打ち手企画に繋げられるのです。

より客観的に”フレーズ”を捉えるために

一方で、日本語は大変複雑な言語であり、上記で示した【意見タグ】で集計しようとしても、様々な表記の揺れを含むフレーズが混在してしまい、傾向を誤解してしまうリスクがありました。

例えば、「味ガ濃い」という【意見タグ】があったとしても、それは「味ガ濃かった」「味ガ濃くて」など様々な表現方法(変換)に対応しなければ正確な傾向を把握することが出来ないと考えました。

そこで、私たちは実質的に同じ意見と考えられる表記の揺れや変換形を集約する技術を開発(「意見タグ集約」と呼んでいます)しました。

例えば、とある冷凍食品に対するお問い合わせを例に見てみると(下図)、「量が少ない」というご意見が218件寄せられていることが【意見タグ】の集計で分かりました。
実はこの218件の裏側には、下図にあるように「量ガ少ない」というフレーズ以外にも「量ガ少なくて」「量ガ少なかったり」と表現が異なるものが集約されています。

日本語の多様な表現方法に対応した私たち独自の自然言語処理技術によってお客様の本音を客観的に集計できるようになっていることがお分かりいただけると思います。

その他の例も見てみましょう。
「海老ガ小さい」というご意見38件の内訳として「エビガ小さい」「えびガ小さい」「海老ガ小さい」が含まれており、「エビ」「えび」「海老」が同一の意味合いであることが認識されていることが分かります。
当然、「小さい」「小さくて」「小さかった」などの表現の違いにも対応できています。

お客さまのお問合せをデータ化したVoCデータのテキスト情報には様々な表現が含まれますが、私たちの技術により、その中に含まれるご意見のボリュームを客観的に集計できるようになります。

このような「同じ意見を集約して集計する」ことが可能になれば、フレーズ(=【意見タグ】)で集計されたご意見の傾向の確からしさが高まるのは言うまでもありません。
そして、その傾向をみれば、単語集計だけでは難しい「打つ手の導出」が可能となるのです。

これにより、お客さまが持つ期待をバイアスがなく炙り出すことが可能となり、マーケティングの高度化~企業活動全体のユーザーファースト化が実現できるようになります。

もちろん、お客さまの声に耳を傾けることは、全ての意見に迎合することを意味するものではありません。企業・団体の戦略に沿って意志決定する必要があるのは当然です。

だからこそ、お客さまの声の中に隠れた期待を客観的・スピーディにファクトとして捉える必要があり、そこに”フレーズ”で見る意義があるのだと考えます。

まとめ

- お客さまの声を理解するために、自然言語処理技術を活用することが重要。ただし、単語集計だけでは意見の本質を把握できず、”フレーズ(何に対するどんな意見か)”で捉えることが重要。

- 私たちがご提供する「アイタスクラウド」では、”フレーズ”の集計が可能。ここから顧客からみた要望や問題点を把握し、具体的な打ち手の立案を通じて課題解決に繋げることができます。

-そこでは、日本語の複雑な表現にも対応しています。「少ない」「少なかった」など異なる表現方法や言葉の揺れを集約する技術を開発しています。お客様の本音を客観的に把握し、意見の傾向を分析することが重要。

私たちInsight TechはVoC(Voice of Customer)データに自然言語処理技術を掛け合わせることで、「声が届く世の中を創る」の実現を目指してまいります。

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