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CDと決別して、Amazon Music HDに移行した。

CDと決別しました。コロナで職を変えたというわけじゃないです。35年続けてきた音楽をCDで買うという行為を止めました。

自分はこれまでCDを作ってきたわけだけれども(これからもしばらくは作るんだろうけれど)、この5月にプライベートではCDと決別しました。遅まきながら。
きっかけはAldous HardingのDESINGERというアルバム。ちょっといい感じだったのできちんと聞こうと思い、ハイレゾ配信サイトに行ったら24bit 44.1kHzというなんとも中途半端なwavデータが18ドル!。AmazonでCDを見たら1,337円で5%還元付きだった。”これだとCD買うよな”と思いながらも”今更CD買うのかー”という思いもよぎる。もう随分前から、持っていたCDはすべてリッピングしてPCで聞けるようにしてあるし、データ再生であるハイレゾ、ストリーミング、そしてそれらとは真逆なアナログ盤に切り替えたつもりではいるのだが、ハイレゾ音源が高額だったり、無かったりしたときは惰性のようにCDを買っていました。1年前にオーディオを入れ替えたときにCDプレイヤーとPCを同じDAC経由で聴くようにしたら、PCよりCDプレイヤーから再生したほうが音が良くなったということもその理由。そんな事もあったのでCD、結構買ってました。自分の嗜好が洋楽だということもあって。洋楽はめちゃ安いんです、CD。

でもまた今回立ち返った。#StayHome中にユーチューバーのワタナベカズマサさんが”最近やめたサブスク、始めたサブスク”っていうのでAmazon Music HDをべた褒めしているのを見たから。Amazon Music HD、知ってはいたがストリーミングで音がいい、っていうのに実感がわかなかった。通信が5Gになれば音のデータなんかハイレゾ非圧縮が当たり前にならなきゃ、と思ってはいたけれど、肌感覚として入ってこなかった。とはいえこれも実際はロスレスとはいえ圧縮はされているのだけれど。
さて、実際のところ音はどうなのだろう?ネットで検索してみるとオーディオ系サイト〈PHILE WEB〉でAmazonとソニーの「mora qualitas」が “ロスレス/ハイレゾストリーミングサービス”ということで比較されていて、音はソニーの方が圧倒的に良いとのことだった。が、ソニーのサービスはいかんせんタイトル数が少なすぎる。しかもこの記事が出た段階ではAmazonには排他モードが実装されていなかった。しかし今は実装されている。PCオーディオで排他モードとそれ以外で聴くのはぜんぜん違うので、正確には比較記事にはなってないと思うのだが、“ロスレス/ハイレゾストリーミングサービス”の音は良いという基本的なことは分かった。
さて、実際のところ音はどうなのか。

まずは売りの”ハイレゾ”から比較してみた。別の配信サイトからダウンロードしたハイレゾ音源(非圧縮のwav)とAmazonのハイレゾ(AmazonではULTRA HDと表記される可逆圧縮のFLAC)を聴き比べてみた。
これはもう圧倒的にダウンロードしたデータのほうが良い!Amazonが負けてしまったのは”ロスレス”だからだろうか?理論的にはロスレスで起こる変化はない。FLACとWAVで音が違うとかいうバカがいる、という人もいる。しかし、聴き比べると明らかに低音の量感とかが違ったりする。オカルト・都市伝説だという人もいるが、聴いてみると違いがある、そこが音楽再生の面白さでもあると思う。
しかし今回の場合はロスレスの問題よりも、プレイヤー(ソフトウエア)の差なのではないかと思った。自分が使っているのJriver Media CenterがAmazonより優れているのだ。そう考えないと腑に落ちないくらいすべての面でクオリティーに差があった。ちなみに使用中のJRiver Media CenterはVer.25。現在最新バージョンは26。そしてこれより音の良いソフトはいくつもあるらしい。

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次は16bit 44.1kHzをCDとAmazonで聴き比べてみる。勝者はCD。CDはレンジが狭い感じはあるものの各楽器の輪郭がはっきりしていて、けっこう強い感じの音が出てくるので聴いていて盛り上がる。Amazonは輪郭が滲んでいるというか少し歪みっぽい感じに聞こえる。クロックが甘い感じでPCに問題があるのかもしれない。
PCは2016年製のLenovo Think Pad T440S (Core i5、8GBメモリ、Samsung SSDに換装)。予算が無いのと、何を選んだらよいかわからないので仕事で使っていたPCのお下がり品でまかなっている。PCは回線にノイズ処理もされていないし、そのせいもあるかもしれない。
CDプレイヤーはLYNNのKARIKという1991年から7年間ほど作られていたモデルなので、たとえ最終モデルであってももはや20年以上前のもの。コアキシャルで出力して最新のDAC(Chord Qutest)経由で再生しているとはいえ、Amazon Music HDはここでも負けてしまった。

が、しかし、CDとAmazoのULTRA HD(24bit 44.1kHz~24bit 192kHzのハイレゾ音源)で聴いてみると、これはもう圧倒的にAmazonの勝ち。CDは”盛り上がる音!”とはいえやはり所詮16bit 44.1kHz、安い音だ。比較するとレンジは明らかに狭く、エッジはギザギザ、音は硬い。ULTRA HDはワイドレンジでありながら中域もしっかり、奥行きもあるいわゆる”ハイレゾなサウンド”が気持ち良い。当たり前といえば当たり前だが、この音が月々およそ¥1,500-で聴き放題なら何も問題ない。PC環境はどうにかしたいものだが、ULTRA HDなら十分仕事にも使えると判断した。
ちなみに排他モードと通常モードでも聴き比べたが、やはりかなり音は違う。ただ通常モード&HD(16bit 44.1kHz)でも比較的音が良いサブスクと言われるSpotify(自分もそう思います)より全然音は良い。それとWindowsだと設定でPCの再生環境を変えないとこれもまた意味がない。24bit198kHzで再生する設定があるのでそれで。

脱線気味でしたが、結果的には今まで持っていたCDのほぼ全てが網羅され、しかもハイレゾ化しているものも少なくないので、これからはCDを購入することは止めにしました。ストリーミングにはジャケットが表1だけで個人的に知りたいデータ(プロデューサーやエンジニア、参加ミュージシャンなど)がわからないという実は結構大きなデメリット、不便さがあり、確認にはググったりアーティスト関係のWEBに直接メールを送ったりする手間があるんですが、それもまた一興ということで自分を納得させました。これでいよいよCD盤とやっと決別できる。
さて、保有している盤をどうするか。捨てるしか無いか。オーディオとしてのCD再生の面白さが無いこともなく、ノスタルジックな思いに後ろ髪を引かれないこともないが、狭い部屋が少しでも広くなるのはありがたい。

職業の観点からみると、自分がこれからCD盤を作らなくなるかについては分からない。最近はメジャー・レーベルはさておきインディーズサイズでやっているものに関しては常に”これで最後かも”と思って作っているのだけれど、これが意外に無くならない。LIVEでは売れるし、ストリーミングにはないジャケやその他装丁に感してはまだまだやれることがあるだろう。実はLIVE音源もストリーミング向きじゃないと思っている。アナログ盤は好きだけれどCD程は売れないから現状制作・製造費が回収できないし、今後今以上に売れるとも思わない。
CDに付加価値をつけて売るというのはどう考えても古臭い思考だけれど、先細りしながらしばらくは続くのかもしれない。この先については今のところ暗闇の中だ。2000年に入る前からオーディオ好きの音楽プロデューサー・笹路正徳氏と16bit44.1kHzの限界に関しては話題にしてきたけれど、いざハイレゾになったら、ストリーミングやYou Tubeが出てきて、結果自分たちの首が絞められている。水より土管がイニシアチブを取るこの現状はどうにかならないものなのか。
ところで今回、あらたなサブスクを契約したことでAppleMusicをやめた。あれは音が酷すぎる。

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