Anycubic Mega-SをPEI仕様に改造する
タイトルのとおりです。
Mega-Sの頃の3Dプリンタはガラスベッドがまだ普通でした。
ガラス製の板で平面を出してその上に樹脂でコーティングすることで定着性を確保していました。
時代は進み、現在の3DプリンタではPEIコーティングをした薄い鉄板をマグネットで固定するのが主流になりました。造形が完了したら鉄板だけを本体から取り外して、ぐにゃっと曲げることで造形物が簡単に取れるという仕組みです。造形物の取り外しがメチャクチャ大変なガラスベッドと比べたら、ずっと合理的な設計になっています。
今ではオートレベリングも当たり前となり、加速度センサーやノズル内の圧力を感知するセンサーを搭載したものも登場しています。そろそろ買い替え時かとも思いましたが、そんなに贅沢をできる身分でもないのでMega-SをPEI仕様に改造してもう少し使うことにしました。
日本語圏の情報ではMega-SのベッドをPEIに変えたという話は見つかりませんでした。一つ古い型のi3での情報は見つかりましたが、ガラスベッドが接着剤でヒーターと固定されていて簡単には取り外せないようだったので一旦諦めました。
しばらくしてから英語圏の情報を調べると、どうやらMega-Sのガラスベッドはクランプで固定されているだけで、簡単に取り外せるらしいということがわかりました。(よく本体を観察していればわかったかもしれません)
しかし、ガラスベッドなしでは強度的に平面が出ないという話で、確かめてみると確かに自分のMega-Sはガラスベッド無しのヒーターのみの状態では大きく歪んでおり、そのままPEIのベースとなるマグネットを貼り付けるには問題がありました。
ではガラスの代わりになるような頑丈な板を用意してそこにマグネットベースを貼り付ければ良い、と考えて3mmのアルミ板を入手しました。サイズは240mmx220mmです。父が切り出してくれました。ありがたい。
厚さが3mmもあれば簡単には曲がりません。ここにマグネットベースを貼り付けるのですが、Aliexpressで入手できたのは220x220mmのPEIシートだったので両脇を10mmずつ開ける必要があります。実際の造形スペースは210x210mmなので問題ありません。
さて、貼り付けると3mmのアルミ板とマグネットベース+PEIの1.7mmを合わせておよそ5mmの厚みになりました。ガラスプレートの厚みが4mmなので前より厚くなってしまいました。ベッドが歪んでいることもあってダイヤルによる調整範囲を越えてしまったのでZ軸の調整をしてレベリングを行いました。この方法は先人のMega-Sユーザーによって共有されていたのでなんとかなりました。
テストプリントを行うと一発で成功。定着性が良い上にワークからの取り外しがめちゃくちゃ楽になりました。一点気になるのはプリントのはじめにベッドの縁で行うノズルの掃除のような工程でPEIの持ち手部分が干渉しているように見えることです。プリント自体は成功しているので大きな問題ではなさそうですが少し様子を見たいと思います。
ベッド交換の難易度はそれほど高くありませんでした。失敗しても元に戻すことも可能ですし、Mega-Sユーザーは挑戦する価値があると思います。
予想外の問題があとから出るかもしれませんので、しばらく使用して、また問題が出るようならこちらに追記しようと思います。ではまた。