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協力隊通信:幻の最終話

中種子町の広報誌に、「協力隊通信」というコーナーを作っていただいています。そこでは私と妻が交互に、地域づくりをしていて感じたことを800字程度で書いています。
今回、私の任期中最後の協力隊通信を書いたのですが、種々の都合により本誌では掲載できなくなってしまいましたので、ここに掲載します。


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タイトル「3年間の感謝と決意」

 令和5年3月をもって私の地域おこし協力隊の任期は満了となります。これまで支えてくださったすべての方へこの場を借りてお礼申し上げます。3年間誠にありがとうございました。
 さて、皆さまにどうしても届けたい朗報があります。なんと4月から、私たちの後任として新たに地域おこし協力隊が2名着任するのです。彼らは20代の夫婦で、関東からの転入です。どちらも専門分野に秀でているのは言うまでもなく、笑顔と人当たりの良さが何よりの魅力で、誰にでも愛される器量を持っています。
 ふたりは都心から移住先を探して各地を旅行し、鹿児島県内をほとんど一周する勢いで巡った結果、中種子町に住みたいと選んでくださいました。初めて中種子を訪れた彼らの、「移住先を探しているところなんですよ」と言う相談に乗ったのは、もう1年も前のことです。
 そんな彼らを後任として迎えることができた僥倖に感謝するとともに、3年間愚直に続けてきた協力隊としての活動が実ったような、そんな充実感に満たされました。襷は、次の走者につなぐときにいちばん輝きます。
 私が地域おこし協力隊に着任した頃の研修で、他自治体の協力隊OBが使っていた忘れられない言葉があります。「地域おこし協力隊は、地域おこし隊ではない」。自分が主役となって地域おこしをするのではなく、隊員は"協力"をしなさい。地域おこしは主役である地域住民に譲りなさい。と、卒業生は言いました。
 私は、そうは思いませんでした。謙虚な姿勢が重要なのはもちろんですが、そのために自己をひた隠しにする必要はないと、私は思ったのです。協力隊だとしても、自分が持つ個性や成し遂げたい夢を、どんどん表現してもよいと私は思います。立場や肩書きを越えて、誰もが主役になれる場所。そんな地域こそが、人に愛される土地なのではないかと、未熟ながらも信じています。
 中種子の町民ひとりひとりが。そして、願わくば後任のふたりが。地域おこしの主役として活躍できる未来を、これからもつくっていきます。


協力隊を引き継ぐ大山夫婦(写真両端)と退任する筆者(写真中央)


-湯目知史(ゆのめともふみ)-
中種子町地域おこし協力隊員。宮城県出身。


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