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経営企画部を「機能ON」にするには?

前回、経営企画部門(※経営企画部、経営企画室、経営戦略室、事業戦略部、事業戦略室、社長室等も含む)の「あるべき姿」について書きました。

今回は、「そもそもなぜ、経営企画部門は機能不全に陥ってしまうのか?」を分析し、そこから「具体的にどうすればよいのか?」を考えていきます。

よくある課題:機能不全に陥る理由

①管理部門化している

「経営企画部」と「経営管理部」は、名称こそ似ていますが本質的な役割が全く異なります。
経営管理部門も会社を維持していく上で必要不可欠な機能です。
しかし、定常業務をきっちりと行う管理部門的な仕事の進め方と、常に新たな課題に取り組む企画・戦略部門の仕事の進め方は正反対です。

「経営会議を事務局として運営するだけ」、「形式的にKPIを追うだけで実際はPDCAが回っていない」、「全社的な課題を戦略的に検討できていない」といった症状は、特に経営企画部を経営管理部から派生させたり、兼任させたりしている企業で頻繁に見受けられます。

②社長・役員の小間使いとして振り回される

経営陣の意思決定支援は、経営企画部門の重要な役割のひとつです。
しかし、それが行き過ぎて言われるがままに依頼された業務をこなすだけの「手足」となってしまっている状況が散見されます。

社長・役員の考えを尊重しながらも、中身を批判的かつ建設的な視点から客観的に検証し、「骨のある壁打ち相手」の役割を果たす必要があります。
経営企画部門のメンバー1人1人がプロフェッショナルとしての意識を十分に持てていなかったり、スキルや経験が不足していたりする場合、経営陣や事業部から軽視されることになります。

③事業部との関係が良くない

経営企画部が事業部を過度に管理したり、主導権争いをしたりしていては、現場が十分に力を発揮できません。
会社の主役は、直接的に収益を生み出す事業部であり、彼らの力を最大限に引き出しながら会社全体をまとめていくことが経営陣(およびその支援組織である経営企画部門)には求められます。

「事業部が戦略的な考え方が一切できない」というお声もよく耳にします。その場合、各事業部の中に入り込み、戦略機能を持てるよう支援していくことが経営企画の役割になります。
また、(目先の業績に集中しがちな)事業部ではなかなか対応しにくい全社的・中長期的な目線からのフォローアップも必要です。

対応策:「3ない問題」に対処する

①気概(メンタリティ)を持つ

経営企画部門の全員が、「会社経営の中枢を担う」、「経営陣や事業部長以上に経営のことを考える」、「プロフェッショナルとして仕事をする」という意識を強く持つことが第一歩です。

多忙な経営陣は、腰を据えて企業経営を考える時間を十分には持てていません。正確な情報を収集するだけでも多大な労力が必要なため、気力や時間の制約から、時代遅れの常識や事実誤認に基づく誤った経営判断が下されてしまうこともあります。しかし、経営陣をそのような状況に追い込んでしまっているとしたら、それは経営企画部門の責任です。

経営陣には仕事をさせず、同時に経営陣が交代しても方針が大きくブレることがない安定した経営システムを組織的に担うことを目指します。
経営企画部門がそのような役割を担うことで、経営陣は最終的な意思決定に集中し、彼らにしかできない業務で会社に貢献する余裕も生まれます。

②スキルセットを磨く

メンバーの再選定、社内の人事異動、中途採用、トレーニング、コンサルティング会社や外部アドバイザーの起用など、様々なアプローチがあります。もちろん、一朝一夕に実現できるものではありません。

初期段階では外部活用を中心に「時間を買う」という判断も合理的です。
ただ、中長期的には社内人材の育成を中心とした「自走できる組織体制」を作っていくことを念頭に置くべきです。

③信頼関係を築く

強い気概を持ち、スキルを磨き、実績を積み上げていくことでしか、社内の信頼を勝ち得ていく方法はありません。

できるところから着手し、ひとつひとつの業務を丁寧に行うことで、経営陣や事業部からの信頼が蓄積され、手掛けられる業務の範囲や仕事の進めやすさ(協力関係の強度)が変わってきます。

同時に、Face to Faceの交流(飲み会など)や人材ローテーションを行うことでメンバーの「人となり」を知ってもらうことも必要です。

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