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YS 2.48 アーサナ3:自由を見つける

ヨーガ・スートラを有名たらしめるのが、ヨガのゴールを目指す8段階を記す八支則。ヤマ、ニヤマときて、今回は3つめのステップ、アーサナの続きです。
ヨガインストラクターのもえと申します。どうぞよろしくお願いします。

※前回は、こちらの「YS 2.47 アーサナ2:目指すところは」からどうぞ。


ヨーガ・スートラ第2章48節

ततो द्वन्द्वानभिघातः॥४८॥
tato dvaṅdva-an-abhighātaḥ ॥48॥

以後その者は、二元性によって乱されることがない。(2)

アーサナは、快適で安定したものでなければならず、アーサナを習得するためには、余分な力を抜き、無限のものに瞑想すること。それによってアーサナは快適で安定したものになるということでした。では、アーサナを習得すると何が実るのか。それが、今回のスートラです。


乱されにくい自分

暑いと寒い、喜びと悲しみ、そういった相反する二つの要素に振り回されることがなくなる。それが、アーサナを習得することによる恩恵だということです。これ、アーサナを練習続けて学んだことを振り返って考えてみて自らの中に見つけるのは、同意でしょうか。それとも、ためらいでしょうか。

ハリーシャ(参考3)は、アーサナの練習を続けることによって、「身体が受ける極限状態への耐える力が強くなる」といいます。こちらは、どうでしょうか。


わたしは、初めてヨガのクラスに参加したときに、まわりの人はなんでもできるように見えたし、わたしは全然できないなと思ったのを覚えています。ただ、続けていくことで、クラス後の筋肉痛は無くなっていったし、できることは増えていくということを経験しました。

そのため、新しいアーサナに出会って、全然分からないなと思っても、まあ練習あるのみだなと思って、特段、気持ちが乱されることはありません。いや、新しいアーサナが嬉しくて、テンションが上がってしまうことがありますが、それはさておきとして。

練習を続けていればできるようになるから、どこに気を付けて練習をすればいいかを、先生のリードや、今までの経験から探していく。練習を続けていて、全然進歩が見られなくても、それでも続けていくことで、できるようになる。それを知ったことは、ぶれにくい心のための大きな一歩だったと思います。


ハリーシャはその過程を「わたしたちの多くが持っている身体への執着を手放すことができたなら...」と書いています。

たとえば、できないのは私の体がこうだからだと、脳みそで考えて決めてしまう。それは、悲観的なようでもありますが、同時に、身体を変化しないものだとみなすことで、心のある種の安定を連れてくることもできます。でも、身体はプラクリティの一部なので変わるし、そのつかんだ安定が安定でないことを知るわけです。変わっていくことを知るということは、執着を手放さざるをえないわけす。


そして、インテグラル・ヨーガ[パタンジャリのヨーガ・スートラ](参照2。以下、インテグラル・ヨーガ)が「祝福されても呪詛されても、ほめられてもけなされても、百万ドルを得ても失っても、あなたは局外中立である」と書いているように、心の姿勢にも影響する。

確かに、アーサナ中のすごく集中できたときに、余計な雑音は聞こえてこない。その感覚は、練習を続けていれば、遅かれ早かれ出会うものだと思います。それを、マットの上でのアーサナの練習だけでなく、オフ ザ マット、つまりマットの外の日常生活にどれだけ連れてこれるかということに続いていくわけです。

フォーチャプターズ オブ フリーダム(参考1。以下、フォーチャプターズ)も、これは、アーサナを練習することの恩恵であり、次につなげていくための能力でもあると書いています。この二元性は、瞑想するうえでの妨害や干渉であり、"克服しなければならない" ということです。わりと強い言葉だという印象をもちましたが、インテグラル・ヨーガが「感情は、ただわれわれが使うためにのみ、かつわれわれの許しを得てはじめて、現れ出るべきである」と書いているのを読むと、感情に対して圧倒的な強さを見せる必要があることを改めて伝えてくれます。とてもインドっぽいなと思う。


継続して努力すること

継続して努力をすることについては、第1章13節ですでに出てきています。覚えているでしょうか、アビィヤーサです。ここで改めて読み直してみると、また違ったふうに入ってくるのではないかなとおもうので、リンクを以下にはっておきます。初耳の方も、ぜひ。


というわけで、一般的にヨガの中で一番多く練習されているアーサナの第三回がここで終わります。ヨーガ・スートラは、何度読み返しても新しい発見があるように思いますが、わたしは、今回特にそう感じました。わたし自身が時間を過ごすことの多い練習だからということかなと思います。皆さまは、いかがだったでしょうか。

さて、次回は、八支則の4つめにうつります。アーサナの次に何が待っているのか、ぜひお楽しみに。また来週、ここでお会いしましょう。

※ 本記事の参考文献はこちらから



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