食べものを育てるより、大切なこと

伊豆で
みかん農家をしていたころ

お客さんに
みかんを配達しながら

伊豆半島を北上して


さいごは
沼津の高橋さんに

お届けすることが
多かった


もう何10年と
自然農に取り組んでいる

自然農の専業農家


亡くなられた
川口さんから

徳島の沖津さんとともに
後を託された

自然農の第一人者


そんな人の野菜セットに

ともエルの
お世話していたみかんを

入れて頂けるのは
光栄だった


また
そんなカタチで

若い農家を
コッソリ応援してくれていた

高橋さんに

感謝と
リスペクトしかなかった


ある時
配達が多くて

高橋さんのところに着く頃には
真っ暗になってしまって

高橋さんのお宅に
泊まらせて頂いたことがあった


翌朝は
ピーマンの苗を植える日で

作業を見学させてもらっても
いいですかと、お願いした


そして翌朝

ふだんどおり

黙々とたんたんと
苗を植えていく高橋さん


ふと気になって

ひとやすみしてる時に
聞いた


「高橋さん、作業してるときに
　なにか考えたりするんですか？」


「そうだねー
　苗のようすが、どんな風にみえるかとか、

　草のようすが、どんな風に見えるかとか、
　かなー」


「わー　草が大変だなーってときは
　自分が疲れてるんだなーって思うし

　わー　草が元気だなーってときは
　自分も元気なんだろうなーって思ったり

　そんな感じかなー」


高橋さんは
このときで30年
いまや40年近く

ほぼ毎日、畑に立ち
植物たちと向き合いながら

" 高橋さん自身 " と
向き合い続けてきた


食べものを育てるより
大切なこと

それは

"わたしを育てること"


「高橋さん、それ、
　ずっとやってきたんですか？」

「そうだねー　だいたいそうだねー」


背筋がゾッとするような
ショックととともに

一生忘れられない

ほんとうに大切なことを
教えて頂いた

高橋浩明さん(右側)
静岡自然農の会 @ ともエルたちの畑にて (東伊豆)

　
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