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なぜ子育て支援は上手くいかないのか?障害となる3つの壁

夫の会社で「子育て意見交換会」というものが開かれました。

子育て世代が「こんな事で困っている」「こんな仕組みを作ってほしい」など会社へ意見を出す会です。

意見を聞く側は社長や人事などで、会社としても子育て支援をしていきたいという気持ちが強く表れていると思います。

そこで出た意見を聞いてみて感じたこと私たちにできることを考えてみましたのでまとめます。


子育て制度は立派な日本

日本は少子化必須だとか子育てしにくいだとか言われていますが、子育て支援の制度自体はかなり充実しています。

・育休がおおむね1年取得できる
・育休中でも給与の2/3程度の給付金がもらえる
・出産時に42万円もらえる
・幼児教育・保育無償化
・医療費無料

それでも現場で働くパパママからは「子育てしながら働きにくい!」という声が上がります。

それではどんな意見があるのか、何が問題なのかを見てみましょう。

子育て意見交換会で出た意見

先日夫の会社で開かれた子育て意見交換会。

参加者(親側)からは以下のような意見が出たようです。

・仕事量が多すぎて時短制度が使えない
・制度があっても使える環境が整っていない
・時短勤務を使うと評価で不利になるのではないかと心配
・出産前は参加していた会議など、知らないうちに外されている
・男性も育休を取れるということが周知されていない
・時短制度に理解のない人も多い

制度はあるけど使えない、使ってもデメリットが大きいなど、各人色んな事情から意見があるようです。

なぜ子育て支援は上手くいかないのか?

意見交換会で出た意見を見て分かったこと。

なぜ子育て支援が上手くいかないのか?

それは3つの壁を突破できていないからと考えます。

3つの壁とは

① 認知の壁
② 利用の壁
③ 評価の壁

それぞれ説明します。

① 認知の壁

まず最初に認知の壁。

利用する側が制度自体を知らない、どう使っていいのか分からない。
会社側もそんな制度を知らないから社員に提供することもできない。
子育て世代以外はその制度が何かよく分かっておらず、どう対応していいか分からない。

という課題がまず一つあると思います。

女性の産・育休などはほとんど一般化していますが、男性も女性と同じ条件で育休を取れるといったことを知らない人も多いということはあるのではないでしょうか。


② 利用の壁

2つ目は制度を知っていても使える環境が整っていないということ。

社内の雰囲気で使いづらかったり、忙しくて使えないという場合はここに含まれます。

また保育園に入れず泣く泣く仕事を中断しなければならなかったり、パートナーが激務すぎて両立が難しく諦めるパターンも入ると考えます。

これが制度は立派なのに利用が進まない日本の子育て支援の関門のように感じます。


③ 評価の壁

最後に、利用したとしてもそれがキャリアとのトレードオフとなること。

制度を利用したことで評価が下げられた、閑職に異動させられたなど。

法律ではマタハラ、パタハラ、イクハラは禁止されていますが、まだまだグレーゾーンは多く、評価を気にして利用できない、または利用するとすればキャリアを諦めるという二択を迫られる現状です。


私たちはどうすればいいか?

それでは私たちはどうすればいいか?

これの一つの答えは「臆せず利用するしかない

特に男性が利用することが大きな意味を持つと考えています。

なぜなら日本の働き方は男性の働き方に沿って変わっていくからです。


男性の働き方によって変化する日本の制度

日本は悲しくも男女不平等が根強く残っており、そのレベルは先進国の中で最下位です。

興味深いのがサラリーマンの働き方の変化。

現在40歳前後の人は就職氷河期を経験し、能力はあっても正社員になれなかった人も多い世代です。

これまで男性=正社員が前提だったのに、この世代で非正規雇用が増えたことにより、働き方が見直され始めました。

2008年には年越し派遣村という現象が話題になったり、2020年には正規・非正規の不平等を解消するため同一賃金同一労働の制度が施行されました。

女性ははるか昔からパートや派遣がメインだったのに、男性派遣が増えたことで社会がそれを問題と捉え始めたのです。

私たちにできること

この男女の扱いの違い自体も問題なのですが、ここでは取り上げません。

このように男性の働き方が変わることで制度が整えられていく現象をプラスに捉えると、男性が積極的に子育てに関わり、制度を利用していくことで子育てしやすい環境が整っていくのではないかと考えるからです。


どうしても制度を利用するのが女性ばかりだと「女性ごと」として捉えられ、本気で仕組みから見直そうとする動きにつながらないのです。

でも男性の動きが変われば国や企業だって「これはまずいぞ」と本腰を入れるはず。

これを読んでいるのが男性なら、勇気をもって出来ることから育児に参加してみることを強く伝えたいです。


そして私たちは

制度を利用できるよう励ましていくこと

を続けていく必要があると思うのです。


制度を利用すれば、周りに迷惑をかけるかもしれないし、利用していない人から陰口を叩かれることがあるかもしれません。

それでも「あなたのやっていることは間違ってない」「素晴らしいことだ」と伝えることで勇気をもって前に進むことができるのです。


勇気とは「自分に価値がある」と思える時にだけ持つことができる


もし今、子育て制度を利用しようか迷っている、利用中だけど心がモヤモヤしているという人が周りにいるなら、まずはその人自身の価値を認めてあげましょう

そうすることで前に進む勇気が持てるはずです。


「育児をしながら働くにはこれくらい制度を利用して当然」と国や社会に理解させるためには利用人数を圧倒的に増やす必要があります。


これは私たち世代のためというより、次の世代への種まきです。

子どもたちが大人になったとき、自分たちと同じ苦労を味わうことのないよう、私たちが今、樹を植えはじめなければいけないのです。

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