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綾辻行人さん「館」シリーズ感想まとめ2024

 移動時間に読むために、「館」シリーズを電子書籍で買い足したので、あらためて読み直したログです。初出はえっくす。カバー写真は綾辻さん・京極さん・辻村さんのトークイベント(撮影OKタイミング)です。
 ちょうど『十角館の殺人』初ドラマ化の時期と重なったので、その感想も含まれています。

 私が綾辻さんを読みはじめたのは、ALI PROJECTのアリカさまが愛読していて、『暗黒館の殺人』の帯コメントを書くと知ったからです。
 なのでシリーズ初読が『暗黒館の殺人』という邪道者ですお許しを。


▽ 十角館の殺人

久々に綾辻行人さんの『十角館の殺人』読みました。
復讐がすべて為されたという意味で、私はこの作品に美しさを感じます。一方で、中村青司の造った〈十角館〉そのものにはさほど惹かれず。なぜなら彼の妄執が理解できていないからです。気持ち悪いとすら思っています。
なお登場人物関係をすっかり忘れ去っていたので「映像化できない」と言われる所以から犯人の当たりをつけ、「あの一文」に行きあたって合ってたァと喜ぶ邪道な読み方をしました。笑
映像化ドキドキしますね!!!
2024年2月2日


▽ 水車館の殺人

改めて、綾辻さんの『水車館の殺人』読みました。
身元が間接的にしか判明しない遺体と顔を隠した人物は疑ってかかるべきと判っていたのに!!!
最後の最後に開かれる〈隠し部屋〉に、遺作と遺体がある構図が妙に好きです。
2024年2月9日


▽ 迷路館の殺人

改めて、綾辻さんの『迷路館の殺人』読みました。
迷路に彷徨う描写は案外少ないなと思っていたら、後半効いてくるのがさすが。今回の〈隠し部屋〉も好みでした。本名とペンネームだけに止まらない人物ミスリードが核心とお遊びの両方にあるという多重構造……笑。
2024年2月16日


▽ 人形館の殺人

改めて、綾辻さんの『人形館の殺人』読みました。
「辻井雪人」の遊びをいつも忘れていつもギョッとします……笑。
『暗黒館の殺人』やそれこそ『Another』に繋がる空気に満ち満ちているのだけはわかりました。叙述トリックまたは一人称トリックがさらに逸脱したというか。
いまの私にとっては「〈館シリーズ〉の1冊」として受け入れられるけれど、もし「〈館シリーズ〉の最新作」だったらどんな受け取り方をしただろうかなとは思います。こと館の位置付けを!
2024年2月23日


▽ 時計館の殺人

改めて、綾辻さんの『時計館の殺人』読みました。
時計とくれば犯行時間の誤魔化しがセオリー。とはいえ、事件の前から時間の感覚を狂わせていた執念はすさまじい。今回は不測の事態込みでほぼ全員いるのもすさまじい。
2024年3月1日


▽ 黒猫館の殺人

改めて、綾辻さんの『黒猫館の殺人』読みました。
ポオかと思いきや、にすっかり惑わされた読者ですが、それにしても黒と白で白のほうの在り処にはエエエ!? と思いました。本格の世界観に似合わない、というのが大きいと思っています。
2024年3月9日


▽ 暗黒館の殺人

改めて、綾辻さんの『暗黒館の殺人』一とニを読みました。
舞い上がる視点とダリアの匂わせに足元を取られながら、〈中也くん〉と一緒に彷徨っている気分です。こんなに〈本格〉と〈幻想〉のバランスが、これ以前の館シリーズと違っていたのかと驚く読み心地です。
2024年3月16日

 +

改めて、綾辻さんの『暗黒館の殺人』三と四を読みました。
〈本格〉と〈幻想〉の混在具合が、前6作とは違うなと強く感じます。言ってしまえば、青司が建てていない館ほど、〈幻想〉が強い。人形館然り、暗黒館然り。動機はあるけれど故意のトリックはそれほどないというか。
2024年3月22日


▽ びっくり館の殺人

綾辻さんの『びっくり館の殺人』読みました。
これが初読です。
一応は少年少女向けで、義理の父娘による不義の子はありなのか。視点となるのが少年だからか、あるいは人形や身代わりという要素からなのか、後年の『Another』の気配を勝手に感じております。
2024年3月22日


▽ 奇面館の殺人

改めて、綾辻さんの『奇面館の殺人』読みました。
初読のときは連続殺人ではないことに驚愕した記憶があります笑。ノベルス発売日に買って読むというビッグウェーブに乗れたのはこの『奇面館の殺人』だけです。だからこそ、連続殺人じゃない衝撃も大きかった、気がします。
登場人物を物質的に記号化する面といい、「見えているものをその通りに描写しない」のではなく「作中の前提条件を記述しない」叙述トリックといい、これは映像化しやすいだろうな、と、これから観る予定の十角館ドラマを意識しながら思います。
2024年3月30日


▼ ドラマ『十角館の殺人』

huluで『十角館の殺人』ドラマ、観ました。
「あの一行」の実現方法がとてもフェアで、これはとてもよい映像化!!!と納得しました。
ネタばれありで言うと。
最終話がオリジナルで、復讐すら自分の独り善がりだったのだと気付く描写が入っていたのも良かったです。途中までは蛇足かと思ってハラハラしてました……4話終わりの「あの一行」の演出が良かっただけに……! あと主題歌がずとまよで良かったですね綾辻先生!
2024年5月6日






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