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本屋随想

今日本屋で、血の気が引いた肌の色をして、本棚に頭からもたれかかっている女性を発見した。
何らかの不調であると思われたので、人生の応用問題に強そうな店員を即座に選出し、女性の位置を伝え、対応を依頼した。店員は救助員を呼び、救助員が女性に声をかけ、状態を把握する事につとめていた。その間、私は清水幾太郎の伝記本2冊を読みながら、どちらを買うか、或いはどちらも買わないか、考えていた。

しかしあの場、女性が倒れかかっている場に居合わせた数人の男女に言いたい事がある。君らは視野が狭すぎる。疲れたとは言わせない。今日の私ほど疲れた人間も少ない。その私に出来た事が、なぜ君らに出来ないのか。

清水幾太郎の本はどちらも買わなかった。

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