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ディレクション日記「あなたにとってマネージャーの意見とは」

金曜は「ディレクション日記」の日。


さて本日の話をかいつまむと‥‥


①マネージャーから良い評価がもらえず、モチベーションが下がった人をみた


②いただいた意見は超大事にしなきゃだけど。それはそれとして。落ちこむまではしなくて良いかと。


③というのも、マネージャーとはアマのナレーターでもアマのスタッフでもなく「プロの視聴者」。

さらに、プレイヤー自身が勝手に勘違いしがちなことだけど、基本的にマネージャーはプレイヤーの”雇い主ではありません”。プレイヤーは事務所の従業員ではありません。(ギャラが歩合制でなく給料制の事務所さんは別です)


④ナレーターや声優は、仕事のたび毎回「専門家として都度都度呼ばれてるだけ」と考えてみて。弁護士や税理士と同じです。プレイヤー側から「マネージャーって私の顧客」と捉えることで『提案』つづけて欲しいです。


下記からは時間の余裕がある人だけ読んでね。


さて。

「マネージャーからの評価が芳しくなく‥‥」足が止まったハイ坊。

1年くらい前に、ごりっぱスタジオにボイスサンプルを作りに来てくれた人がいます。仮にハイボールのハイ坊と呼びましょうか。

僕としても、ハイ坊がマネージャーと友好的に共闘しながらも、事務所にぶら下がろうとしないように、主体的にプロモーションしていけるよう、あれこれ知恵を絞ったつもりです。


先日、そんなハイ坊のことをふと思い出し「先日のプロモーション経過はど〜お?」と聞いてみました。

すると返事は『実は……マネージャーからの評価が芳しくなく‥‥2の矢を打つ前に半年以上止まっちゃってるんですよね‥‥』とのこと。

ふぅ〜む‥‥

ちなみにハイ坊。いくつか仕事経験はあるけど、とても売れっ子とまでは言えない状態です。そりゃあ自分に自信もないだろうし、褒められて背中押してもらいたかったろうし‥‥、マネージャーが難色示した瞬間の絶望感たるや、想像に難くない。

ちなみに”芳しくない”ってのが、どの程度のNGレベルなのかは僕にはわかりません。

「人生棒に振るつもりか!」ってレベルで詰められたのか、はたまた「前回の方が好きかな〜まぁまた次回頑張ってね〜」って案外応援してくださってたのか、僕にはわかりません。

とにかく、向かってる方向が違うって言われたら、足も止まろうってもんです。素直に意見を聞いて即座に足を止める判断も、とてもとても正しいとも思います。

でも、僕としては
『大事な意見ではあるけど、一方で、落ち込んで足止まってるんだとしたら本末転倒しちゃってないかなぁ〜足が止まってしまってることの方がよっぽど大問題じゃないかな??』とも思うのです。


マネージャーとは『プロの視聴者』

うまく売れられてない多くのナレーター声優は(時に導いてくださるからこそではありますが)マネージャーを「アマチュアのナレーター」「アマチュアの制作スタッフ」のように感じてしまっているように思います。なんでも知ってる「先輩の亜種」と捉えています。

だから、つい、マネージャーの都度都度の取捨選択を、業界や事務所の総意の如く、普遍のもののように感じている新人も少なくありません。

でも違うと思います。

マネージャーはマネージャーのプロなのです。ナレーターの亜種でも制作スタッフの亜種でもありません。多くのマネージャーは滑舌の練習もしたことないと思います。テレビ番組制作についても、実際的な意味では僕らプレイヤーとほぼ同じくらいしか経験がない人がほとんどだと思います。

役割分担です。それが当たり前のことで、優劣の話は一切していません。
私たちプレイヤーが、法律や会計やマーケティングの勉強をしたことがないのと一緒です。

マネージャーとは『プロの視聴者』です。なぜただの視聴者ではないかという「誰にも真似のできない経験」「最先端のリアルな情報」「ビジョン」があるからです。

とはいえ、僕らプレイヤーから見ると「あくまでカウンターの外の人」ではあるのです。くれぐれも「だからといって言うことを聞く必要がない」という意味ではありませんよ。

あくまで別の立ち位置にいる人。別の価値観や、別の原理原則で動いている人、と言う意味です。

もっと言えば『プレイヤーにとってのお客さん』ということです。


【実際問題】あなたにお金を払っているのは誰でしょう?


ナレーター声優のお客さんって、プロデューサーやディレクターじゃないの?と言う人もいます。もうちょっと全体が見えてる人なら番組スポンサーと考える人もいるし、視聴者全員が顧客とも考えられます。マーケティング的には「裏番組を見てる視聴者、テレビを見てない視聴者すら顧客」「地球上全ての人間全てが顧客」などもまた、全部正解ではあるんですけど……そういうややこしい概念論ではなくて、ここでは「メンタル原因で足を止めないために」、ワンシーンだけ切り取って聞いてください。

私が稼いだものをマネージャーが手数料を引いて代わりに振り込んでくれている、という概念論でもありません
即物的に【実際問題として】あなたにお金を払っているのは誰でしょう?

事務所に関わるナレーター声優の顧客とは、あなたにお金を直接払ってる人(銀行振り込みをしている人)。そうです。マネージャーなのです。


ナレーターや声優が「従業員」だと思ってるなら何かを間違えてるぞ

上記の話の延長線上です。

マネージャーを「雇用主」として捉えてしまいがちな人も多いです。今まさに新人の人や、「育ててもらった」と感じているナレーター声優は特にです。

でも上記の捉え方も(気持ちとしてはとても謙虚で良いものですけど)違うと思います。ギャラが歩合制で雇用契約を交わしてない事務所さんなら、マネージャーを雇用主として捉えるのは違います。プレイヤーは従業員ではないからです。

多くの事務所さんでは、ナレーターや声優は、その都度都度、専門家として事務所に呼ばれて個別に仕事しているだけです。イメージしづらい場合は、弁護士や税理士がわかりやすいかと思います。あなたのギャラの明細に「給与」ではなく「報酬」と書かれているのはそういうことです。

そう、あなたは弁護士や税理士などと横並びで、専門家として委託されてるのです。

ですから、マネージャーのいうことをご神託のように扱う、のは、何かが間違えていると思います。


顧客のいうことを大切にすることと振り回されることは違う

あなたが飲食店を経営していたとして。

顧客はあれこれ言うものです。あれが好きこれが嫌い‥‥仲がよくなった常連さんならああした方が良いよこうしてみたら‥‥

顧客のいうことはとてもとても貴重でありがたいものです。リサーチもする。顧客の感想も尊重する。
でも「振り回される」とは違うのです。

顧客のいうことならなんでも聞いてしまう、とか、やたら聞きたがりまくる店には、僕ならとても行けません。重すぎるから。

そうじゃなくて「客としてラクをしたい」「客として楽しみたい」のです。
その対価として金を払うのです。

だからと言って日本一ハイレベルな料理を出せ、というのでもありません。世界中で唯一無二のサービスをしろ、とも思いません。できることを一生懸命やってくださるだけで良いのです。

そして店長と仲が良くなれば、店長から問われれば客として、感想やアドバイスを伝える時もあります。

この時店長側としては、顧客の話が正しいか間違えてるかなどは一切関係ありません。顧客の好意か悪意かも考慮しません。ただただ顧客の話は顧客の立ち位置だとして客観的に話を聞くだけです。
経営の都合と睨めっこしながら、顧客とのつながりも一生懸命考慮しつつ、自分で自分の人生を決めるだけのことです。


僕だって、実証の前には、手のひらなんか何枚だって返します。

話は戻ります。

ここから先はマネージャーさん一人一人によって様々な考えがあるかと思います。なのでややこしい部分ではありますが‥‥あえて書きますと

「マネージャーの視野を越える(ことで視野を拡張してくれる)ナレーターや声優がほしい」そう考えてくださるマネージャーが大半なのではないでしょうか?プレイヤーは従業員ではないからです。

無茶なことをしろ、というのではありませんが、極論するとマネージャーから「やめた方がいい」「私にはその未来は見えない」というものを、なんとかして実現してみせた時に「視野を拡張することに一役買った」と言えるのではないかな、と思います。だからこそ依頼が続くとも言える。

マネージャーの視野の範囲にしかいないようにする立場とはなんでしょうか。従業員なのに給料制でもない。それってただの顔色伺いマンなのかもしれません。裸の王様担ぎ要員として、後年振り返って、組織ごと崩壊させる蟻の一穴を開けるのかもしれません。今この瞬間は事なかれで済むかもしれませんが、長い目で見ればこちらも荊の道かもしれません。

僕の知り合いのプレイヤーたちも、最初は「そのプレイではダメだ」「サンプルのここがだめ」と言われていたのに覆すことで、気がつけばいつの間にか『だから良いよね』になってた人も少なくありません。だからこそ(マネージャーの視野を超えたからこそ)大切にされます。
当たり前です、僕だって、実証の前には、手のひらなんか何枚だって返します。

くれぐれもマネージャーが間違えてる、と糾弾したいのではありません。なんでも逆張りをしろということでもありません。

「未来は誰にも、自分にも、マネージャーにも見えない」というだけの話です。そして『誰でもない、”あなたの人生”をあなたが歩む』話ですから、あなたがどうするかしかそこにはない、というだけの話です。

プレイヤーは、顧客であるマネージャーに、大なり小なりなんらかの提案を続けるべきで、提案であるからには「勝敗は兵家の常」です。褒められるか蹴られるかなんて結果論にしかすぎません(もちろん努力はしなくてはなりませんよ)

提案がどうなったか、ではなくて、提案しているかどうかを、マネージャーは見てくださってるんだと思います。

提案し、小さなことでも達成感を得ることで、あなたもまた、モチベーションを作り出すことができるのではないかな?と思います。

どんなに無様であっても、歩き続けましょう。
試合終了のホイッスルを吹けるのは自分だけなんですから。


目次は下記です









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