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いわば「アテレコ2・5次元」ラフィング・ライブ『アウト・オブ・オーダー』観劇記

昨日は、山寺宏一さんと水島裕さんによる演劇ユニット「ラフィング・ライブ」の第5回公演である『アウト・オブ・オーダー』を観に、三越劇場へ行ってまいりました。

アテレコ界のスターばかりで声を聞いているだけで楽しい世界。
原作の緻密な構成、ドタバタコメディの動きの豊かな演出。

僕が感じた気持ちをまとめると‥‥
「こ、これは‥‥外画アテレコの2・5次元」!

お誘いいただいた三石琴乃さんに大感謝です。
普段のありようや、ミサトさんなどの有名キャラの雰囲気ともちがった
パワフルでちょっとアレな琴乃姉さん、素敵でございました〜!

チケットはまだ販売中だそうです
ネルケ公式によるHP→ ラフィング・ライブ『アウト・オブ・オーダー』
2019年11月28日(木)~12月2日(月)三越劇場
https://www.nelke.co.jp/stage/laughinglive5/

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▶︎下記、感想
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原作はレイ・クーニー。といっても全く存じ上げず申し訳ないのですが、1932年生まれのイギリスの劇作家、俳優、および監督だそう。
『レイ・クーニー笑劇集』なる戯曲本が出てるようなので、ウッディ・アレンとかニール・サイモン的な位置づけの方なのかな?と思いつつ、劇場へ向かいました。

さて、話はいきなり自分語りになるのですが
子供心に僕がナレーターや声優になりたいな、と一番最初に思ったのは、広川太一郎さんのダジャレアテレコに稲妻に打たれたからなのでありますが、

同時に、「ファミリータイズ」「アーノルド坊やは人気者」などの海外シチュエーションコメディにはまっていた、という理由もあったのでありました。

英語圏独特の抑揚や表現、リズム感で生み出されるコミュニケーション。
それは、日本人が日本を舞台に日本人を演じるTVドラマとは、全く別のものに感じました。

別といっても、存在自体がフィクションであるアニメの世界観ともまるで違う。
生きている人間を演じるのに、別世界。
それは「唯一無二のアテレコ」としか言いようのない、
独特の様式美のようなものを感じるのです。

特に好きだった作品はモンティ・パイソンで有名なジョン・クリーズがやっていた『フォルティ・タワーズ』という、イギリスのシチュエーションコメディでした。

ジョン・クリーズの顔芸と動き芸はセリフのリズムと密接に関わっていて、この笑いを体現するには、英語圏人独特のリズムが必要だと思っています。

そこに混じることができたらどんなにか楽しいだろうか、ずーっとずーっと夢見ていたのですが1980〜90年代思春期から青年にかけての山ちゃんはお芝居に触れることもなく‥‥芝居はあったにしても「日本人表現としてのTVドラマ」しかなかったわけです。

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やがて僕は、実際に声表現の世界に足を踏み入れたものの、夢に見た「アテレコ演劇」に関わることはできませんでした。

表現右派の講師は『それが舞台系であれテレビ系であれ、日本人ドラマ表現』を教えるし
表現左派の講師は「アニメ表現」を教えてくれていたからです。

そのどちらも、楽しかったは楽しかったのですが、
第三の表現として「アテレコの芝居」も楽しみたかったのです。
でも教われない。舞台などでもそれをやってくれるものは僕の周りにはなかった。

シチュエーションコメディに限らず海外の題材を扱う演劇などはありましたが(僕の知識が乏しいだけだったとは思いますが)日本人が日本人の顔と仕草で「ねえミスターケンブリッジ?」とかセリフ回す表現は何かこう‥‥どうしても隔靴掻痒のような感じが拭えず

ましてやヅラとか被られちゃった日には「なだぎ武さんのディランかな?」とか思ちゃって、違う意味で爆笑止まらず、まるで世界にも没入できないまま顔を赤らめて劇場を後にする、という人生を送ってきたのです。

嗚呼、思春期の頃憧れた「アテレコ表現」とは、淀川長治さんか水野晴郎さんのオンエアを観るか、DVDメニューで吹き替えを選ばなければ感じることのできないユートピアだったのか‥‥

そう悟って、40年生きてきました。
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が‥‥!
今回のラフィングライブさんの公演でついに出会ったのでありました。

「ねえミスターケンブリッジ?」などとセリフ回しても一切違和感を感じさせない技量が演者全員にあり、
時々日本にはない風習や言い回しがセリフに入っていてもそれはそーゆうもんだと思わせてくれるだけのシンクロ感でもって引っ張ってくれる‥‥

いわば「外画の2.5次元」を!

今回の「アウト・オブ・オーダー」は
「プラザ・スイート〜フォレスト・ヒルズの客〜」のようなセリフによるイメージ笑いの世界もありつつ、さらにフォルティタワーズ的な、ホテル全体を巻き込んだドタバタ笑いもあり。

まさに‥‥あのリズム、あの抑揚、あの笑いの雰囲気!
嗚呼‥‥学生の頃から夢見てた世界がここに!
ラピュタは本当にあった!と叫びたい訳です

観客”役”として、ここぞという所で「イエッふ〜!」と指笛を吹いたり、家族愛が極まったら「オ〜ゥ‥‥」と落胆したり、そんな絶妙な「例のガヤ」を入れたくなるほどです。

僕の中のイメージでは
ウィルスミスの山寺宏一さん
サモハンキンポーの水島裕さん
ロビー・コルトレーンの斎藤志郎さん
C-3POの岩崎ひろしさん
葛城ミサトの三石琴乃さん
エウレカの名塚佳織さん
ブルー・ローズの寿美菜子さん
などなどが「あの独特の世界」を縦横無尽に表現してくれていたのでした。

ビバ吹き替え!
ビバ日本人による外国を演じたシチュエーションコメディ!
ビバ声優さんたち!目を瞑ったって楽しいだなんて!

きっとイギリス人が見てるイギリスのコメディには存在しないえも言われない感覚が、この舞台にはあると思うのです。

やはり「アテレコ2.5次元」としか形容できない!
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そんなわけで
芝居好き、コメディ好き、声オタ、などなど
皆さんに観てほしい作品です^^

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