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年収1000万超え平社員の仕事術(1)Wordでの文章作成業務にはEmacsのキーバインドを使う

Emacsとは

 Emacsは、一般にUnixやLinux系OSでの標準的なテキストエディタの一つである。理工系の大学の授業などで使用されることも多いだろうから、そのような経験がある人にとっては馴染みがあるだろう。しかしながら、理工系出身者でもEmacsを使用したことがないという人も筆者の想像以上に多いようだ。Emacsについての詳しい説明は下記のwikipediaサイトに記述されている。

Emacsを使用することの利点

 Emacs自体の利点は様々だが、ここで取り挙げるのは、キーボードによるショーカット入力のみにより、マウスを使用しなくても(左右どちらかの手もキーボードから離さなくても)幾多の操作を網羅的に可能にすることである。そして、その便利さ及び快適さは使った者にしか分からない。こればかりはどう説明しても実際に体験した人にしか分からないものである。
 ところで、Emacsのショートカット入力は、Windowsのそれと比べるとはかなり異なっており、同じショートカット入力でも、EmacsとWindowsとでは意味が異なる場合もある。例えば、Ctrl+fは、Windowsでは検索の意味になるが、Emacsではカーソルの前方移動になる。従って、Emacsのキーバインドを使いこなすにはある程度の慣れが必要となる。
 しかも、Windows環境でEmacsのキーバインドを実現するには後述する多少の試練が必要となり、ある程度のプログラミング能力も必要となる。よって、筆者の提案は誰でも容易に実現出来るものではないことを予め断っておく。
 しかしながら、そのような試練の先には他の方法では決して味わえない便利さ及び快適さを得ることが出来る。特に、主として文字入力を行う業務にとってはその効果は作業効率という恩恵として得ることが出来る。
 例えば、通常Wordで一行分を削除するには、マウスのクリック&ドラッグで、またはShift+方向ボタンで当該箇所を選択した上でマウス又はキーボードで削除操作を行うか、一行分のBackspaceキーを押すなどの必要がある。これに対して、Emacsでは通常のキーバインドであればたったCtrl+kを押すだけで行うことが出来る。また、文頭や文末にカーソルを移動させるには、Windowsの場合、該当箇所をマウスでクリックするか、方向ボタンでカーソルを移動させる必要があるが、EmacsではCtrl+aだけで文頭に、Ctrl+eだけで文末にカーソルを移動させることが出来る。さらに、多くのキーボードでは方向ボタンがキーボードの右側のテンキーの手前にあって少々不便だが、Emacsでは、Ctrl+p, n, f, bだけでカーソルの上下左右移動が可能であり、同様にBackspaceもCtrl+hで可能であり、つまり右腕を動かさずに操作を可能にする。これらは一見大した違いではないように感じられるかもしれないが、上記のように大量のテキストデータを扱う編集作業では大きな作業効率をもたらす。

WindowsへのEmacsキーバインドの導入方法

 WindowsでEmacsキーバインドを導入する方法として、レジストリの書き換えにより強制変更する方法もあるが、他のソフトウェアの操作に悪影響を及ぼす危険も考慮して、本稿ではいつでも容易にキーバインドを切り替えられるように、Keyhacというソフトウェアを導入することを提案する。インストールファイルは、下記のサイトで入手することが出来る。

 このソフトウェアの特徴は、キーバインドの変更内容をPythonで記述するということである。従って、上述した試練とは、Pythonでのプログラミングをある程度、習得する必要があることである。しかし、プログラミングの内容自体はそれ程複雑ではなく一般的なプログラミング知識を習得していれば十分対応出来るものである。Pythonの記述ルールには独特な部分もあるが、インターネットから得られる情報から十分理解可能であろう。Pythonの言語構造そのものをしっかり勉強しておくことも将来有効となるだろうから、これを機に入門書を通して学ぶことにももちろん意味がある。
 このPythonでのプログラミングにより、従来のEmacsのキーバインドだけでなく自分が使いやすいように自由にアレンジすることも可能である。具体的な活用例を日本語で解説しているサイトが幾つかあるため、これらを参考にすれば理解が深まるだろう。例えば、筆者の場合上述の通り、Ctrl+fをカーソルの前方移動に割り当てているので、代替としてCtrl+iに検索を割り当てている。また、EmacsではCtrl+aで文頭にカーソル移動するため、代わりにCtrl+qで全文選択するように設定している。上記Pythonでの記述では、現在のWindowsで割り当てているショートカットをどのようなショートカットに書き換えるかという方式であるため、キーバインドをアレンジすることはプログラミング初心者でもそれほど難しくない。

まとめ

 本稿は、EmacsやPythonを詳しく解説するものではないので、プログラミングやPCに不慣れな人にとって、本稿は決して親切と言えるほどの説明はしていないし、Pythonの参考スクリプトも掲載していないことを断っておく。
 ビジネスでは当然身に付けるべきスキルであるブラインドタッチも最初からいきなり誰でも出来るものではない。子供がふりがなの読み書きを覚えるように何事も慣れることが大事であり、特に大人になってから慣れないものにエネルギーや時間を使うモチベーションを持つことは容易ではない。それでもなお上述の恩恵はそれらの苦労を確実に上回ると断言する。
 それだけこの試練を乗り越えてでも本稿でお勧めする方策には価値があることを最後に強調する。その有効性に気付いて実際に実践するかどうか、それによって業務が劇的に効率化するかどうかは全て貴殿次第である。

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