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マイナンバーカードの強要?

マイナンバーカードに保険証が統合する話で何だか盛り上がっています。

わたし自身はこの署名活動の内容に賛同できないので、署名活動が行われているサイトへは直接リンクはしませんが、1日で 7万人超の署名が集まったなどと記事には書かれています。

賛同できない理由

未取得な理由は?

署名活動が行われているサイトを見ていて賛同できないと感じた点は…

署名活動サイトのスクリーンショット (1)

冒頭から、上図のような感じではじまっています。
普及率が高くないのは、彼ら(署名活動を行っている方々)の主張では「マイナンバーカード制度そのものに対する不安」とされていますが、それだけではないように感じています。

デジタル庁の「マイナンバーカードの普及と健康保険証利用に関する関係府省庁会議(第6回)」の資料 3-1 の中で、p.6 に「(5)マイナンバーカードの未取得理由」が掲載されていますが、

p.6 に「(5)マイナンバーカードの未取得理由」(全体)

合計すると 100% を超えるので、複数選択による回答なのだと想定されますが、このような複数選択での回答結果で、わずか 4% の違いをそれほど重要視すべきなのでしょうか?

「特にない」を選択した人はそれ以外の理由を選択していないでしょうから、約 73% の未取得者のうち、半数が「情報流出が怖いから」と選択したことになります。
ここで「情報流出が怖いから」という設問を選択しないということは、マイナンバーカードのセキュリティ対策に対して「情報流出は怖くない」と認識しているとも解釈でき、ついでに選択してしまうケースもあるのではないでしょうか?

マイナンバーカードの安全性については、デジタル庁のサイトでも説明されています。現状の保険証のように顔写真もない証明書に比べて、不正使用されるリスクは格段に下がるはずです。

そういったセキュリティを担保するために、マイナンバーカードには更新手続きなども必要になっており、そういった煩雑さが「申請方法が面倒だから」という未取得理由とも重なって普及しない理由にもなっているのでしょう。

デジタル庁が安全性を説明している点については触れず、闇雲にセキュリティに対する不安を煽るのは賛同できません

事務手続きの効率化を否定したいのか?

続けて、彼らは次のように主張を展開します。予測に対する危険性を心配しているようです。

署名活動サイトのスクリーンショット (2)

後段の内容は、厚生労働省のサイトに掲載されている「介護保険施設における 負担限度額が変わります」という PDF の内容を指していると思われます。

「介護保険施設における負担限度額が変わります」
https://www.mhlw.go.jp/content/000334525.pdf

今後、後期高齢者の医療窓口負担額がどのように変化するかはわかりませんが、技術的に可能なことと、それが実施されるかは別にしてもいいのではないでしょうか?
彼らの主張は「体育で扱う競技に野球を導入すると、放課後に金属バットによる殺傷事件につながるかもしれません。」と言っているのと同じくらいの話に思えてなりません。

そもそも、彼らは以下のような目標を掲げて活動する労働組合の方々ですから、効率化・合理化による人減らしに繋がることには反対しようとします。

全労連:全労連紹介 のスクリーンショット

彼らに逆に問いたいのは、

  • ここ数年に発生した臨時の特別給付金の手続きで、自治体などで膨大な作業量が発生したことをどのように考えているのでしょう?

  • ゴリゴリと役場の事務職員を酷使させることを望んでいるのでしょうか?

  • 金融口座のひも付けが行われることで省力でのスムーズな給付が行えるようになるメリットは無視?

  • 現在は連携されていない情報が連携されることによって、困っている人へのピンポイントな給付が行えるようになるメリットは?

という内容です。

業務の効率化・合理化は行ってはいけないのですか? 現状維持のために、変化を否定する考え方には賛同できません

マイナンバーカードの導入はデジタル活用の強要ですか?

終盤の彼らの主張は、次のような内容です。

署名活動サイトのスクリーンショット (3)

従来の紙での保険証は、まったくデジタルではないのでしょうか? 保険証には所属する組織や個人に採番された番号が記載されていて、その番号で処理されているはずです。
紙の保険証を利用している本人がデジタルを活用しようとしているかに関係なく、それらを処理している部分にはデジタルが活用・利用されていて、個人に配布されている末端の保険証が紙になっているだけなのです。

細かく答弁は確認していませんが、政府の答弁で言及されているのは、マイナンバーカードを利用する個人がデジタル利用を強要しない、と言っているだけであって、それを処理する側(病院などの医療機関、保険事務所、厚厚生労働省 など)が利用しないと言っているわけではありませんよね?
今回の保険証についての変更も、マイナンバーカードの更なるメリットを活用しないのは本人の自由であって、政府は活用しないことを否定していないと思うのです。

現時点では 2024年秋に紙ベースの保険証を廃止する方針で進めていきたい、とデジタル庁が発表しただけで、本格的な議論はこれからのはず。
不安に感じるところなどは、これから議論していけばいいのではないでしょうか?

彼ら自身も、従来のアナログな署名活動では数が集まらないので、署名活動サイトを活用しているのに、「デジタル活用を強要するな!」という主張は、ちょっとちぐはぐだと思うんですよね…

最後に

それぞれのニュースサイトでも、署名活動が行われているサイトへのリンクは直接掲載されていませんが、これだけの数の署名が寄せられています。
セキュリティなど情報漏洩に不安を感じるというのであれば、そういったサイトへのアクセスの際には、

  • Cookie などでどのような個人情報が提供されているのか

  • 当該サイトの利用規約やプライバシーポリシー

といった点も確認しているのでしょうか? 

逆に…
マイナンバーおよびマイナンバーカードの普及に反対する人達は、これだけの公金を投入して作られたマイナンバーカードという基盤を有効に活用しないことによる損失について、どのように考えているのでしょうか?

わたしは、以下URL で主張されているような行政サービスのワンストップ化だと思います。
便利な世の中を実現するためには、魔法ではなく、デジタルな仕組みが必要なので、そのための基盤を用意しなければならないのです。年金の名寄せ作業のような無駄やミスが発生しないように作られたものを否定して、どのような仕組みを作り上げたいのでしょうか? 

何だか、主張している問題点が浅い感じで、単純に既得権益を維持したいだけなんじゃないの? デジタル嫌いなだけなんじゃないの? と思えてなりません。

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