Vulfpeck全部聴く(Vulfpeck名義編 #2)
はじめに
実は、書く時間が無いだけで、もう『Hill Climber』あたりまですでに通しで聴いてしまった。でも、文章にもまとめたいので今日は『My First Car』から改めて聴く。何回聴いたっていいですからね。張り切っていきましょう。
3. 『My First Car』
ついにAntwaun Stanleyが参戦。しっかりボーカルが入ったのは『Wait for the Morment』が初めてのよう。『Animal Spirits』がやっぱり一番有名ではあるから、Vulfpeckのヴォーカルと言えばTheo Katzmanのイメージが強いけども、最新作『Schvitz』でもかなりの数のボーカルをとってるだけあって、Antwaun Stanleyのイメージも強い。Cory Wongとの楽曲だけど『United』とかは、特にファルセットの声色のきめ細かさにうっとりする。
ついに「Vulfpeckの楽器」が揃ってきた感があります。ちなみに先ほどで出てきたCory Wongはたぶんまだ先。『The Birdwatcher』や『The Speedwalker』はのちにThe Fearless Flyersの方でも演奏されていたりと、今にもつながる看板楽曲が出てきた感じ。『The Birdwatcher』の終わりに脈絡なくコテコテのオーケストラヒットが鳴る感じ、お茶目で、これぞVulfpeckという感じ。
全体として、Wurlitzerとドラムとベースを中心としたミニマルさが際立つ編成、楽曲ですが、ここら辺から一曲の長さが三分を切るのが増えてきた感じ。心地いいところ、ちょっと足りないかな、ってところで終わっていく感じがいい。
確かに、『My First Car』とかは5分近くあったり、必ずしもそれが徹底されてるわけではないですが、心地いいうちに終わってくれて、全く長い感触はない。コーヒーで言うなら、リストレットショット的ともいえそう。
こうした、ここまでのVulfpeckのサウンドの正当進化的なサウンドもある一方、『Kuhmilch 74 bpm』では重めのベースやビート感ではあったり、模索している様子を感じる。前二作にも収録されていた、『It Gets Funkier』もついに『It Gets Funkier Ⅲ』まで進化。ややBPMを落とし、クラビやアナログっぽいシンセが前に出てきていて、これもいい。
というか、全体的に『My First Car』になってから、シンセ系の音色が増えたものの、ライブ感、ジャム感は損ねられていないのがうまい。もちろん、アップライトのピアノとかそういうアコースティックな音色もいいけれど、アナログシンセサウンド(映像見る限りmoog)が、Vulfpeckのミニマル感と演奏の温かみを両立する上ではかなり重要なんだろうなと感じる。
楽器は必要最低限だし、派手なプレイもあまりないけど、全く貧相には聞こえません。かなり好き。これもVulf初心者にはおすすめなのでは。
4. 『Fugue State』
『Fugue State』は若干、バロック音楽的なフレーズの絡みが聴こえてきてかなり新鮮。『1612』でわかる通り、相変わらずAntwaun Stanleyとの相性は抜群。『First Place』は『Mit Peck』の頃を彷彿とさせるサウンド。前作がややタイト目なサウンドの印象だったのに対し、ルーム的な広がりを感じさせてくれる。しかし、その一方、終盤のシンセで明確に盛り上がりを作る展開は、前作や今作あたりから出てきた要素。こんなにしっかり盛り上がっても3分ちょい。変な言い方ですが、Vulfpeckの音楽タイムパフォーマンスがいいというか、せっかちにはもってこいです。割とクラブミュージックが我慢ならないタイプなので、この方が私は絶対好き。
『Sky Mall』は明確にアッパー。グロッケンとWurlitzerの組み合わせが素敵。明確にグロッケンとWurlitzerが主体のAセクションとベースが主体のBセクションが交互にくる感じが、いい。終盤に向かってAccel.していったり、ベースが思いっきりスラップしてたり、かなり激しい。盛り上がる。
『Christmas in L.A. (instrumental)』。このころから末尾に「(instrumental)」とついた楽曲が出てくるが、これは次回作にボーカル入りのバージョンが収録されることを示唆しているとか。Woody GoesのPianoとJack StrattonのWurlitzerがレイヤーされることで生まれる、ハイブリッド感が気持ちいい。結構、ここら辺から、パート(同時に進行しているメロディーなどのパーツ)数としてはミニマルだけど、楽器の数的にはかなりリッチな編成が増えてきた印象。
『Newsbeat』はいつものVulfpeckという感じ。エレキギターのコーラス感と、全体的にちょっとくすんだ感じ音質がたまらない。しかし、この『Newsbeat』以外の楽曲は初めのころから比べると、ずいぶんとポップになってきました。
余談
Vulf(Vulfpeckとは微妙に違う扱いのよう)のYouTubeチャンネルに行くと、たいてい楽曲のMVがあがっていて、そこにどの楽器を誰が弾いたかが載っていて、かなり助かります。ありがとうVulfpeck。
次回は、『Thrill of the Arts』と『The Beautiful Game』。
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