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#1日3アルバム開拓 2023/7/4

20.La revancha del tango - Gotan Project

 Gotan Projectというフランスのグループのデビューアルバム。タイトルは「タンゴの復讐」という意味らしい(Deepl翻訳より)タンゴ・エレクトロというジャンルに分類されるらしいが、そこまでエレクトロな要素は感じず、エレクトロに限らずハウスとかヒップホップとかいろんなジャンルを含んで魔改造したタンゴという感じ。しかし、タンゴって割とリズムとかでジャンルの定義がされてた記憶があるので、正しくは「タンゴの編成」であることに過ぎないのかもしれない。しかし、これをあくまで「タンゴ」とすることには、試みとしての面白さがある。
 本来主役であるはずのバンドネオンが上物のアクセントとしての振る舞いにとどまっていて、あくまでビートが主役というニュアンスを強く感じる曲もあれば、しっかりタンゴをしつつ、ビートが乗せ変わっていたり。サウンドも、ミニマルなのにやたら細かいビートのドラムだったり、コーラスがかかったヴァイオリンだったり、ディレイで飛んでいくピアノだったり、本当に魔改造タンゴ。全体的に、ダウナーな雰囲気が漂いつつも『Triptico』とかはクラブジャズっぽい雰囲気があったりもする。とにかく、ありそうでなかった曲が多い。
 しかし、妙に耳なじみがあるのはなぜだ、と思っていましたが、一時こういうサウンドを葉加瀬太郎氏がやってた記憶がある。2001年って感じ、ものすごくわかる。意外と、Y2Kに乗っかって流行るかもしれない。梅雨時にぴったり。結構好きです。

21.Happy Birthdé - Rémi Panossian Trio

 たまには知ってるアーティストの過去作も混ぜていきます。Rémi Panossian Trioは結構前に『Sun Monkey Voltage』を聴いてからお気に入り。しかし、私はアーティストローラー作戦をあまりしないので、聴いてないアルバムも当然あります。
 南フランスのピアニスト、Rémi Panossianのトリオ。ピアノトリオと一口に言っても、様々なトリオがいますが、トラディショナルな方面というよりもかなりハイブリッドな感じで、私の好みドストライク。日本のトリオで言うなら、H ZETTRIOとかと同じく、明るくえげつないテクニックを見せてくるタイプのトリオです。アコースティックに無茶苦茶する系。ジャズロックやプログレっぽい要素も含みます。
 『Sun Monkey Voltage』に比べて、ケレン味は少ない。しかし、『Busseola Fusca』のビートの入れ替わる感じとかは、抽象的な表現で申し訳ないが、気持ちよすぎてイく。『High Tech』の多幸感と不穏さが入り混じる、ブラシで進むドラムンベースも最高。『Shikiori』の展開の多さもいいし、『Think One Thing and Sing』はハイブリッドのスタンダードともいえるナンバー。永遠に聴いていられる。とにかく終始、身体が喜んでいるのがわかる。

22.Try! - Airelle Besson Quartet(Airelle Besson/Benjamin Moussay/Isabel Sörling/Fabrice Moreau)

 フランスのトランぺッター、Airelle Bessonのアルバム。冒頭の『The Sound of Your Voice, Pt.Ⅰ』から柔らかく朗々と歌い上げたかと思いきや、『The Sound of Your Voice, Pt.Ⅱ』では激しくRhodesと絡み合う。Isabel Sörling氏の透き通りつつも少しクリーミーさを感じる声と、Airelle Besson氏のトランペットが絡み合う。なんとなく北欧ジャズに通ずる柔らかい音像も感じ取れる。『Angel‘s Dance』とかはオーバードライブがかかったRhodesとドラムのクリスピーさと、Tpと歌声のコントラストが綺麗で、幻想的でありつつも力強い。スピリチュアルな何かというより、大地と風が見える。大地に天使は宿る…。『Try!』って題名の通り、いろんなアプローチが垣間見えるアルバム。『Patitoune』はほんとにPatitoune言っているし、ビットクラッシュかけたRhodesとモジュラーシンセの組み合わせもなかなかけったいで良い。割と、UKジャズは、パリッと硬派なサウンドが多いイメージだが、フレンチジャズはコミカルで洒落てる…ってことなのだろうか。


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