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祖母の教え

里帰りした時、もうすぐ母の日だからと
ちょっとしたプレゼントを渡したら、
「母の日というよりババの日だけどね」と笑い、
今年の母の日は祖母の命日だと言う。

「何回忌?」と聞くと「8年ぐらい経つかな」
とざっくりな返事。
帰り際、仏壇の位牌を見てみたら10年だった。
母が介護から解放されて10年か…。

  *   *   *

祖父は戦争で亡くなったので、祖母は女手一つで
母を育てた。
(と言っても上の世代がいたから、一人で子育てした
 訳ではない)
でも、私たち孫ができた頃、祖母が一家のあるじと
なっていたので、とても強くて怖いイメージだった。
”かわいいおばあちゃん”ではなかった。
アルプスの少女ハイジに出てくるロッテンマイヤーさん
を彷彿とさせる存在だったので、学校あるあるの
「先生、来たっ!!」のノリで「ばあちゃん、来た!!」
と逃げたりしたものだ。
(別に悪い事もいたずらもしてないのに)

  触っちゃダメなところはいじってません。
  テーブルになんて座ってません。
  電気は省エネしてます。
背筋をシャキンとして、いつでも即答(笑)
でも怖いだけじゃなくて、多少オーバーなくらいに
褒めてくれるし、背中を押してくれる大きな存在。
声も大きい。
私がちゃんとして見える(と言われる)のは
祖母のしつけのおかげ。
そしてそれは全然嫌なものではなかった。

『郷に入っては郷に従え』

と言う覚悟を持って嫁入りした時、祖母並みの
納得のいくしつけ具合で指導されたかったけれど、
嫁入り先では何も教えてもらえなかった。
適当が過ぎるんです、義母が(焦)
お寺のこと、家のこと、行事のこと、ちゃんと
教えてくださいよ〜〜っ!!と何度思ったことか。

芯が1本ピシッと通った、ちょっと背筋が伸びる存在の
『あるじ』がいる家がいいなと昭和な私は思う。

鏡を見ながら祖母に似て来たなと思うことがある。
そして時々、手を叩きながら笑顔で言う祖母の声が
聞こえてくる。

本気もて〜!!  』
(本気を出してやれっ!!)

今も私の背中を押す。

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