家庭料理「こっこちゃん、何食べたい？　第二回 ピザの異端児、パイナップルピザよ！の巻」

これは、こっこちゃんという元気な女の子と、その保護者のおとうちゃんが、仲良くお食事をする、ただそれだけのお話です。でも、それが何よりだとも思うのです。どうぞ、気楽にお付き合いください。お料理の作り方もありますので、よかったら参考になさってください。

≪主な登場人物≫
こっこちゃん・・・小学校三年生の女の子。好物は肉と甘い物。
おとうちゃん・・・こっこちゃんの保護者。つまり、おとうちゃん。執筆業。とりあえず生活に困ってはいないけれど、余裕があるわけでもない。

ある日のこと、リビングでこっこちゃんがよだれを垂らしながら、何かを見ています。

「こっこ、何を見ているんだい？」
「おぉ、おとうちゃんか。何でもない何でもない、何でもないねん。チラシが入ってたんよ。捨てとくわ。」

そう言うと、チラシを丸めて、ゴミ箱に捨ててしまいました。
おとうちゃんは気になって、捨てられたチラシを広げてみました。
「こ、これは、宅配ピザのチラシ…。」

こっこちゃんは宅配ピザを食べたいけれど、なかなかのお値段なので、おとうちゃんに遠慮して、食べたいと言わなかったのです。そして、それに気づかれたくなかったのでチラシをさっさと捨ててしまったのでした。
よだれを垂らしながら見ていたのに…。

おとうちゃんは胸がいっぱいになりました。
「こっこのやつ、またしても家計の心配をして…。よし！」
おとうちゃんは台所へ行き調理に取り掛かりました。

数時間後…。
「こっこ、ごはんだよ～」
「あ～い。ごはん、ごはん♪きょうは何かな♪」

お部屋から出て来たこっこちゃんは驚きました。
何と、美味しそうなピザ！
「うぉ、パイナップルピザだ！これ、どうしたん！？」
「作ったんだよ。こっこはピザが食べたかったんじゃないかと思って。よだれを垂らしてピザのチラシ見てたからさ」

「おとうちゃん、ありがとな。いやいや、おとうちゃんにはお見通しだったってわけか。いやさ、おとうちゃんが景気よくない顔してたから、宅配ピザ食べたいなんて言えんかったんよ。」
確かに、先月の仕事が少なかったために、お財布の状況は少々厳しかったのです。

「そうだったのか。こっこも、おとうちゃんの事はお見通しだったんだね」
「そうよ、湿気た顔してたんよ。」

こっこちゃんはよだれを垂らし、おとうちゃんは湿気た顔。
お見通しはお互い様だったんですね！

「じゃあ、ピザが冷めないうちに食べよう！」
「おぅ、いただきます！」
二人で仲良く食べました。

「おとうちゃん、ピザは美味しなぁ！特にパイナップルピザは最高よ！」こっこちゃんはパインと肉の組み合わせが大好きなのです。
「うん、美味しいね！」おとうちゃんはこっこちゃんが喜んでくれて、うれしいです。

こっこちゃんも、おとうちゃんも、満足しました。
ピザの出来栄えもさることながら、お互いの思いを感じることができたのでした。やはり、人間は思いやりが大事です。

さて、宅配ピザも美味しいのですが、お家で作るのも楽しいものです。
さあ、作り方です！

≪材料≫
＊生地
強力粉・・・160ｇ
薄力粉・・・40ｇ
ドライイースト・・・小さじ1/2
塩・・・小さじ1/2
水・・・130ｇ
オリーブオイル・・・10ｇ

＊トマトソース
トマトの缶詰め・・・400ｇ
玉ねぎ・・・80ｇ
にんにく・・・１片
オリーブオイル・・・大さじ1
塩・・・3ｇ
※玉ねぎ、ニンニクを細かいみじん切りにして、オリーブオイルと炒め、透き通って水分も飛んできたら、トマト缶を加えて2/3量になるまで煮詰める。塩で味を調えて出来上がり。つまり、普通のトマトソース。

＊具材
ピザ用チーズ・・・好きなだけ
あとは好みでいろいろ
今回は、パイナップルと謎肉のハワイアンピザを作りました
・パイナップル
・イタリアンソーセージ（ひき肉200ｇ、塩3ｇ、卵白1個分、オリーブオイル大さじ1、好みの香辛料を合わせ、ピンク色に乳化するまで混ぜる。1時間ほど寝かせて完成）

≪作り方≫
＊生地
1.強力粉、薄力粉、ドライイースト、塩を合わせ、水を加えて混ぜる。粉類に水が回ったところでオリーブオイルを加えて、水とオイルが全体に均一になるまで軽くこね、20分休ませる

2.ヘラで生地を持ち上げて捻じるようにしてこねる。ヘラで丸くまとめて、醗酵に入る。

3.生地が二倍程度に膨らんだら、生地とオーブンペーパーに打ち粉をして取り出し、生地を円くのばして成形（打ち粉は強力粉。分量外）
※この際、生地のガスは抜かないで、外側に寄せるようにしていくこと。ふっくらとした良いふちが出来る。
4.のばした生地にオリーブオイルを塗り、その上にトマトソースを塗る。
5.好みの具材とチーズをのせ、230℃に予熱したオーブンで15分程焼く。
切り分けて皿に盛り、完成。