見出し画像

家庭料理短編「こっこちゃん、何食べたい? 第四回 おかあちゃんのチーズオムレツは世界一ィィィ!の巻」

これは、こっこちゃんという元気な女の子と、その保護者のおとうちゃん、おかあちゃんが、仲良くお食事をするという、ただそれだけのお話しです。でも、それは何よりだと思うのです。お料理の作り方もありますので、よかったら参考になさってください。
それでは、どうぞ気楽にお付き合いください。

≪主な登場人物≫
こっこちゃん・・・小学校三年生の女の子。好物は肉と甘い物。
おとうちゃん・・・こっこちゃんの保護者。つまり、おとうちゃん。執筆業。とりあえず生活に困ってはいないけれど、余裕があるわけでもない。

「こっこ、おかあちゃんから電話だよ!」
「はーい!」
こっこちゃんは笑顔で猛ダッシュ。電話機を受取りました。おかあちゃんとお話しするのがとても楽しみなのです。
「もしもし、こっこですけど、おかあちゃん元気だった?」

おかあちゃんというのは、おとうちゃんの配偶者。つまり、おかあちゃんです。
企業にお勤めのビジネスパーソンで、現在は単身赴任で大阪にいるのです。
「元気だよ。こっこちゃんこそ元気だった?ちゃんと食べてる?」
「うん、昨日はおとうちゃんがビフテキ作ってくれたよ。あとねぇ、こっこはプリン作れるんだよ」
こっこちゃんは、おかあちゃんのことが大好きです。

「今度の連休にお家に帰れるんだけど、どこか行きたいところはある?」おかあちゃんが言いました。
「行きたいところはないかなぁ。おかあちゃんと、おとうちゃんのいるお家が一番よ。それだけよ。それが何よりよ。」こっこちゃんは答えました。
「あらまあ…。」おかあちゃんは嬉しくて涙がこぼれました。

里子と里親ですから、難しいこともたくさんありました。
はじめの頃、こっこちゃんはひとのことを信用できず、いつも警戒していました。おとうちゃんとおかあちゃんは悩みました。すこしずつ、すこしずつ、おたがいを理解し、心を通わせ、雪解けのように徐々に難儀も解けていきました。
血のつながりはないけれど、しっかりと結ばれた本物の家族なのです。

そして、お待ちかねの連休。
「ただいま~!」おかあちゃんです。
「おかえり~!」こっこちゃんはとても嬉しくて、飛び跳ねてのお出迎えです。

おかあちゃんは荷を解いて着替え、お茶しながらひと休みです。
こっこちゃんは、おかあちゃんと沢山お話ししました。
学校のこと、おとうちゃんのご飯のこと、うれしかったこと、楽しかったこと、いろいろ。
おかあちゃんも、こっこちゃんとお話しできて幸せ。にこにこです。
よかったね、こっこちゃん。

さて、夕飯の支度です。
「こっこちゃん、今日はおかあちゃんがご飯作るから、リクエストしてね!」
「じゃあ、チーズオムレツが食べたいな」
「オッケー、チーズオムレツ!」

画像1

チーズオムレツというと、石井好子著『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』に紹介されているような、粉チーズを卵液に混ぜて、フライパンをトントンして成形する、フレンチスタイルの上品な味わいのものを思い浮かべる方も多いかもしれません。
本場の味ですからね、美味しいですよね。
でも、こっこちゃんが求める味とは違います。
「チーズ味の玉子料理」ではなく、「玉子に包まれたチーズ」が食べたいのです。
玉子に包まれたチーズ…。それが、おかあちゃんのチーズオムレツなのです。とても簡単なのに、とても美味しい。難しいことはありません。美味しさの秘訣は卵液に牛乳でなく、水をいれることです。こうすると、卵がふんわりとします。また、中に挟まれたチーズが溶けてとろりとし、半熟を求めなくても美味しいオムレツになるのです。おかあちゃんの大発明!
さあ、作りましょう。

*材料(一人前)
・卵…2個
・水…大さじ2※牛乳ではなく、水です。
・スライスチーズ…2枚※とろけないタイプを使ってください。
・塩…少々。一つまみ。
・胡椒…パラリと、気持ち程度。

*作り方

1.フライパンを温め、調味料と水、卵をまぜた卵液を流し入れる

画像2

2.卵液が固まってきたらスライスチーズをのせる

画像3

3.卵を折りたたんで、クレープのように盛り付けて完成

画像4

できました。さあ、召し上がれ!
「あぁ、美味しなぁ。おかあちゃんのチーズオムレツは世界一よ」こっこちゃんは、とろけるような笑顔です。それを見て、おかあちゃんも、おとうちゃんも、笑顔です。
久しぶりの家族三人そろっての食事。いつもより楽しい食卓に、美味しさもひとしおです。
三人はとても幸せ。

人に優しく。人間らしいつきあいとは、優しさと思いやりが基礎だと、私は思います。

お読みいただきありがとうございます。私のささやかな文章を見守っていただけたら嬉しいです。