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団塊の後 三度目の日本 (毎日新聞出版)

元経済企画庁長官の堺屋太一さんの遺作となった小説。

本書はオリンピック終了(小説なので2020年開催の設定)後、ダラダラと停滞を続ける日本経済を変えるために、立ち上がる政治家を描いている。

・東京一極集中の社会は、規格大量生産の工業化社会に適した体制であるため、遷都し、道州制を敷く。(日本を統治する発想を変える。)

・日本は、『3Yない』の世の中(欲ない、夢ない、やる気のない日本)となっており、身の回りのことしか心配しない人が増加している。

・医師は、人口減少により余り出し、いらない医療(悪魔の医療化現象)を医師が行う世の中になっている。

・地方自治体に自主性を持たせるために、国の資産を地方自治体に売却する。売却したお金で国債を減らす。

堺屋太一の主張である首都機能移転は、日本統治の発想を根本的に変えるところに意味がある。今の東京集中の仕組みでは、民間が官を向きながら仕事をすることになり、日本が変わらない。

工業化社会であれば官僚主導でも対応が可能かもしれないが、知価社会では不適応なのは明らかである。明治維新に近い改革をなそうとすれば、首都移転なくして、日本は変わらず、ずるずると衰退してしまうだろう。

堺屋さんの遺言となった本書である。是非とも一読されたい。


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