34歳の誕生日前日にバ美肉してアニクラでDJした話 + VTuberを現場に呼ぶ際に気をつけるポイントの話

前回の続き。

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34歳、というと現代日本社会の男性にとっては人生のステージが成熟期にさしかかる時期である。ある友人は会社で役職がつき、ある友人には2人目の子どもが生まれ、ある友人は住宅ローンを組んで地元に家を建て始めた。同級生たちがそのように人生の節目を迎えている中、僕は何をトチ狂ったのかバ美肉してアニソンDJをしていた。いや、決してトチ狂っていたわけではない。僕はきわめて正気だし、それしか選択肢がなかったのだ。僕の人生において何度かあったチャンスをきちんとものにしてパートナーを手に入れ、ともに人生を形成することができればこうはなっていなかったかもしれない。自分のことを大切に思い、認めてくれる大事な存在が自分にはいなかったのだ。満たされない心が歪み、美少女の皮をかぶることによってカワイイと賞賛の声を浴びることでしか心の隙間を埋めることができない哀しき承認欲求モンスターが34歳の僕の立ち位置なのである。ウッウッ

前置きはこれくらいにしておいて(自分で書いていて悲しくなってきたのでこの辺でやめておく)ともかく表題の通り、先日の11/7に愛媛県のアニソンDJ+ショーケースイベント「ニジゲンフリークス!!Club Greens」で、「天才バーチャル美少女DJtomo3ちゃん」という名義でDJ出演させて頂いた。出演の様子はTwitchに配信アーカイブが残っているのでそちらをご覧頂きたい(4:15:30~あたりから登場します)。今回はその時の体験を踏まえて、VTuberを現場に呼ぶ際に気を付けるポイントについて書いていきたいと思う。

VTuberを現場に呼ぶ前に確認しておきたいこと

とりあえず準備の上で必須だと思うことは以下の3点。

①VTuberの姿を投影するスクリーンやモニターを置くスペースがあること

まずこれが一番大事。ステージやDJブースにモニターを置いたりスクリーンを張るスペースがあるかどうかを確認してほしい。イベントにVJ担当がいてビデオミキサーを使用している場合は、映像をビデオミキサーのいずれかのチャンネルに突っ込み、ワイプの形でメインスクリーンの一角に出してもらうという手法もありだと思う。

自分の場合は本来DJが立つ位置にブームのマイクスタンドを2本立ててその間に小さめのスクリーンを張り、プロジェクターで映像を投影する形を取った。ちなみに映りがよくなるように人物の部分の裏だけ黒布を張ってある。

②VTuberが観客から隠れてパフォーマンスを行うスペースがあること

人形劇ではあるまいし、操る人間の舞台裏が観客から見えていては大変な興ざめである。たとえ僕のように中身がバレバレのVTuberであっても、隠れてパフォーマンスをするのは最低限のマナーだ。なるべくステージやフロアに近い楽屋や控室、もしくは舞台袖や裏にスペースが作れるのがベストだと思う。最悪の場合舞台の一角をパーテーションか何かで区切って無理やり隠れスペースを作るのも手だ。

注意しなければならないのは、持ち込み機材の量やパフォーマンス内容によっては相当のスペースを要すること(例えばデスクトップPCなどを持ち込んだり、動きをフルトラッキングしてダンスしたりする場合)だ。あと、パフォーマンスする場所の光量によってはWebカメラが顔や体を認識できずにモデルの動きが止まる場合もあるので、リハーサルの時などに十分に確認しておくことが必要である。電源も必要な数を確認・確保しておきたい。

幸い、会場のSALONKITTYの2階には、関係者しか入れない楽屋の奥に照明室があり、その中で十分な作業スペースを取ることができた。

③隠れてパフォーマンスを行うスペースから映像と音声を届けられる手段があること

まずはこちらの設営図(会場の建物を横から見た様子)をご覧頂きたい。

設営図

音声については会場の照明室の真下にあたる部分にPA卓があったので、照明室の窓から(図では床を貫通しているような形になっているが)キャノンケーブルを伸ばしてPA卓に直結した。

問題は映像の方だが、照明室からプロジェクターまではかなりの距離がある。通常のHDMIでは5~10mまでしか信号を送れないので、エクステンダーを利用して信号をHDMI→LANに変換し、30mのLANケーブルを壁伝いにフロアまで伸ばしてプロジェクター近くで再度HDMIに変換→プロジェクターに接続という方法を取った(※HDMI→LANに変換して映像を送ることについてはこちらの記事が大変詳しいのでもしよろしければ参考までに)。

実際にやってみての感想

・ここまでの準備をするには、自分のシステム構成を十分に理解し、ハコのスタッフと綿密にコミュニケーションを取れることが必要不可欠である。今回はSALONKITTYのスタッフの方々に多大なご協力を頂いたので実現が可能となった(わざわざLANケーブルまで買って頂きました...)。可能であれば事前に必要機材を最低限でもいいので持ち込み、本番想定環境でパフォーマンス可能かテストをしてみてほしい。

・準備にそこそこ気力・体力を必要とするので、VTuber自身が準備もパフォーマンスもやらなければならない場合、パフォーマンスについては疲れていても万全のものが出せるよう準備をしておくこと。ちなみに僕はバ美肉DJの前に自分(tomo1)のDJ出演がありお酒も沢山飲んでいたのでtomo3ちゃんの姿でDJするときには完全にヘロヘロでした。兄が酔っぱらうと妹も自動的に酔っぱらってしまう深刻な不具合は今後修正しないといけないですね。

・準備は大変だったが、実際にDJブースでモデルが動いているのを見た時は感動したし、バ美声のMCにオーディエンスがリアクションを返してくれるのも嬉しかった。あとカワイイカワイイと言われ続けるうちに「もしかしてカワイイのはtomo3ちゃんではなく"""俺"""なのでは???」などという謎の錯覚に陥りかけた。決してそんなことはない。RPはRPであって自分自身は単なる34歳の一般男性限界オタクおじさんであることを忘れてはならない。気は確かに持つべきである。

最後に:魔法の仕掛けの過程を楽しもう

高度な科学技術は魔法と区別がつかないとよく言われるが、今回のバ美肉という魔法のような技術の準備をしながら「アニメでも大がかりな魔術ほど地味な仕掛けの下準備やってたりするもんな...」などと考えていた。そして周到に準備した会心の"魔法"が発動した瞬間は心の中で派手にガッツポーズをしたものだ。30歳過ぎた男は魔法使いになれるって本当だったんだな!!

そのような魔法の仕掛けの過程を楽しみ、魔法の効果を確かめたいオーガナイザー各位は是非ともVTuberをイベントに呼んでみてほしい。この魔法はいずれ普遍的になって魔法と呼ばれなくなる日が来るかもしれないが、とりあえず今のうちはまだ魔法のままだ。まほうつかい、はじめていこうな。

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