DSC_0016のコピー

聞こえない世界

先週火曜日から、右耳が正常に聞こえない。
何かが詰まっている、あるいは膜が張られているような感覚。

目を閉じると、右側にポッカリとした穴が。
世界の一部が切り取られたみたいに。
空虚が広がっている。なんて。

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今日は知り合いの写真家・小谷玄哉さんの個展『ジャカルタ路地散歩』へ。

写真を撮る人は世界の見え方が違っているようだ。

静と動を捉える、一筋一筋がやわらかな。やさしいフォーカス。

ジャカルタの日常を切り取る非日常。
小谷さんが切り取ったその瞬間には、ジャカルタの街が續いている。

とても居心地のよい空間だった。

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右耳に違和を感じ、違和が実際である今。
違った世界を写した作品をみると、自分自身への回帰が起きる。

私の耳は何を切り取っていたのだろう。
何を取るための器官だったろう。

異常な耳が切り取る、聞こえない世界。
そこには何があろうか。

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写真展の後は丸福珈琲店本店へ。スーパーで売られているここのプリンが好きだが、店舗では頼まない。一度やらかしたことを、二度はしない。

、、、今回はチーズトーストとコーヒーをいただく。

分厚いトーストの上に程よく乗ったチーズペースト。うまい。
濃いめのコーヒーはもちろんのこと。

トーストの断面が美しいと思える。
層のうねり、平行線。
パンが分厚くってよかった。

それは味覚だけでは表せない世界。

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今ちょうど、『オズの魔法使い』を読んでいる。脳を欲するかかし。心臓を欲するブリキの木こり。勇気を欲するライオン。無いものを欲して、旅に出る。

そして、少女ドロシーは灰色の故郷への帰路を。

耳は聞こえている、だけど一定以上の周波数が聞こえづらい。医者によると、耳掃除のしすぎと花粉症が原因らしい。左耳は20代のものだが、右耳は30-40代の聞こえ方だという。

耳がよく聞こえなくなってから周りの音への注意をしづらくなった。音楽、水の音、鉛筆の音。好きな音が聞こえないのはつらい。環境を学んでいる身としても、いけないことだ。

不安定なバランスは酔狂のようで、思った以上の絶望はないけれど。でも、できるだけはやく、治って欲しいものだな。


(記:2019年7月28日 A・K)

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