見出し画像

load 2 the sea by bicycle

2020/07/30
この日は涼しくて、雨予報だが大降りにはならず、パラつく程度。

朝起きてから夏休み前半戦のビデオ編集に取り掛かる。特に知的で面白い喋りがある訳でも無いし、センスあるテロップを入れられる訳でも無い。けど2020年の夏休みは、こうして始まり、こうやって過ごしていたと言う自分なりのvlogになってると思う。やっぱりビデオ編集楽しいわ。イベントが無い毎日でさえ、記録として残しておけば、懐かしく振り返ることが出来る日が必ず来ると思う。コロナに負けないぞ。

ドローンの映像編集をしていて気付いた事がある。ドローンの飛行音が静かになったのは湿気のせいでは無い。公園のセミの声が煩いために、冬に飛ばしたときと比べドローンの飛行音が小さく感じたのだ。前半戦を振り返ってみると、やたら蝉の声が大きいことに、やっぱり夏が来ているんだなぁと改めて思う。

涼しいのでベランダに出て、朝飯前に、赤い折りたたみ自転車と向き合う。昨日までのベランダの邪魔モノと打って変わって、宝物に見え始めた。先ずは空気入れて、油を差してみようっと。

ポンプ付きの空気入れを持ち出して、空気入れのバルブ先端に取付けようとするが、取り付かない。無理矢理クリップでくわえ込んで空気入れを押してみるが、スカスカで手応えなし。次にボールなどを膨らます手動式の空気入れを持ち出す。針状の先端を使っても、先端の針を外しても自転車の空気入れにはマッチしない。どうすんじゃいコレ。気を取り直してポンプ付き空気入れのクリップを外してみる。おや、フィットする!レバーを上げるとカチッとハマる。えっさよいさっと空気入れを上下させると手応えが返って来る。こりゃ普通に空気を入れることに成功した模様。

続いて稼働部に油を差して行く。ハンドルやペダル、車輪やギアを軽く回してみて、回転する箇所を見極めてチュッと油を吹きかける。それ程ぎごちない動きをする所は無さそうだ。最大の難関は折りたたみ機構のメインフレーム。当初はガチガチで、もはやどうやって動かすのか皆目検討も付かなかったが、油を差しながら動かせる部位を徐々に動かして行くと、手順が見えて来る。なる程、このレバーを外して、この金物がカチッとハマれば、折りたたみモードから乗車モードに変身出来そうだ。しかし力づくでピンをはめようとしても、はまらない。やっぱり放置時間が長過ぎたかな?と祈るような思いで油をさしていると、軽い手応えでカチッと金物がはまり、フレームが固まった。これで自転車に乗れるのでは?はやる気持ちを抑えて、自転車に跨いで体重をかけてみる。ベランダで軽く足漕ぎをしてみる。ブレーキをかけてみる。自転車から降りてタイヤの空気が抜けてないかチェックをする。おー!赤い折りたたみ自転車で小旅行する夢が一気に現実味をおびた。

勢いに乗って早速、自転車にかけるチェーンを購入した。これで自転車の性能チェックに出かけられる。そう自転車を離れて安心してトイレや海辺、ドローンを飛ばしに行くことが出来るのだ。後は天気と目的地だ。昼飯を食べながら話していると、今日より明日の方が天気が悪そうとのこと。次女は今日、塾には歩いて行くので送らなくて良いと言っている。これはいきなりサイクリングに向かうチャンス到来。思い立ったら吉日。リュックサックにドローンとタオル、折りたたみ式の座布団に、モバイルバッテリーを突っ込んで、海辺を目指すことにした。

いざとなればかみさんに車で迎えに来てもらっても良し、タクシーのトランクに自転車を詰め込んで帰るも良し、折りたたみ自転車意外と最強説?!はやる気持ちを抑えながらベランダから玄関に自転車を移動させる。途中リビングのテーブルの上のものをガチャガチャとなぎ倒しながら、赤い自転車を玄関に担ぎ出した。「ちょっと落ち着いて。自転車に乗るのがそんなに楽しいの?子供かっ!」とかみさんに笑われた。ワクワクが止まらない!

マンションを出て、自転車に跨る。何年ぶり?十数年は乗ってない。安全に、慎重に、と自分に言い聞かせて自転車のペダルを漕ぎ始める。我がマンションは坂の上にあるため、自転車は勢いよくスピードを付けて風を切りながら疾走し始める。ブレーキを慎重にかける。前輪ブレーキはキーっとカン高い音を立てる。慌てて軽めに握り直す。後輪ブレーキは静かに確実に減速が効く。慣らし運転なので前方の歩行者のペースに合わせて坂道を降りて行く。曲がり角で歩行者と別れ、また長い坂道を降りて行く。徐々にスピードは上がって行く。風を体いっぱいに受けながら走るのが楽しくて仕方ない。

急ぐ旅路じゃございません。頻繁に信号機に引っかかるので、ゆっくり休みを取りながら走れる。タイヤの空気が抜けていないか心配しながら走る。先ずは近くの海に面する公園に向かった。

公園入口ではスケボーを練習している青年がいる。奥の海に面したエリアでは沢山の釣り人が釣竿を並べている。但し残念ながら海は汚かった。自転車に乗って見たかった海の景色はこれじゃ無い。

広場はガラガラで小さい子供が自転車を練習している。よく見ると広場の反対側には鳩を追っているおじさんがいる。よし、このスペースがあればドローンを飛ばせるなと言うことで、飛ばしてみた。飛行音で集まっていた鳩が一斉に逃げ出す。上手くホバリング出来ず、どんどん風に流される。広いスペースなので、どんどんドローンが遠ざかる。やはり今日はドローンは諦めよう。体力は未だ余っている。自転車の調子も悪く無さそうだと言うことで、もう少し景観が良い、海の公園を目指すことにした。

せっかくの自転車なので、車で走るルートでは無い道を走ってみたかった。内陸方面に向かう。信号で止まるとポケットからスマホを取り出して、現在地を確認する。2次元の地図では分からない、ダラダラとした上り坂が続く。一気に太ももが悲鳴を上げる。硬いサドルの上でお尻も痛くてなって来た。坂道が辛くてはじめてギアチェンジをしてみた。車輪は小さいが7段ギアが付いており、道路状況に合わせて負荷を変えられる。しかしギアチェンジが上手くいかなかった。思い切り踏み込むとカムが動いてしまい、チェーンがズレてペダルが空回りしてしまう。うわっ!これ以上ダラダラと坂を上るのは辛過ぎる。後から次々におばあちゃんや子供用のカゴを付けたお母さん達に、実にあっさりパスされ行く。恐るべし電動アシスト付き自転車。

やっと八景島方面を示す看板が見えて来たので交差点を左に曲がる。すると今度は下り坂になっており、どんどんスピードが出る。しかし下り坂も楽しくは無くなっていた。段々と小旅行の目的地が近づき、まさか帰路にこの坂を登らなきゃいけないのか?と考えると憂鬱が心にブレーキをかける。

八景島に向かう357号に出ると、自転車用と歩行者用と分離された道路が真っ直ぐ伸びていた。車道だけでなく、モノレールとも並走する道。これが非常に走りやすく、風も心地よい。ランニングする人達を何人もパスして行く。ただお尻の痛みが限界で、立ち漕ぎし悶えながら海の公園をひたすら目指した。

ついに海の公園に到着した!全身は疲労感に包まれており、汗もかくことが出来た。マスクをして走る必要があるのか?分からないが一応マスクを付けて走った所、後半息苦しさも味わった。この苦労を乗り越えて辿り着いた海の公園は格別である。

駐車場はガラガラ。中学生だろうか?壁打ちテニスで汗を流している。自転車を砂浜入口に止めて、海辺に向かう。先ずは水分補給と思いコンビニに向かうが閉まっていた。まさかとは思ったが、平常の夏の海とは全く違うことに驚かされる。海辺に出てみると遊んでいる人は殆どいない。犬を散歩させる人達数組とすれ違うばかりだ。岩場で遊ぶ家族が1組。私はその家族を横目に見ながら、持参した折りたたみ座布団を広げ、自動販売機で購入したスポーツドリンクで喉を麗した。

波が岩にあたりパシャっと砕ける音が聞こえる。海を眺め、潮風にあたっていると心穏やかになれる。物足りないのは浜辺で遊ぶ人達の笑い声だ。勿論夕方近くの時間帯のせいもあると思うが、この人気の無さは異常だ。奇妙な2020年夏休みである。

身体の疲れは我慢出来るが、お尻の痛みが我慢出来ない。先ずは折りたたみ座布団をサドルに引っ掛けて跨いでみるが一漕ぎするだけでズレてしまう。タオルをサドルに巻いてみようともしたが、これも無理。諦めて大声で痛い!痛い!尻が痛い!と叫びながら帰ることにした。幸いマスクのお陰で何を叫んでいても他人には気付かれまい。

帰りはサイクリングロードが整備されている平地を帰ってきた。本格装備のサイクリング車に抜かれ、普通のママチャリにも抜かれる。ママチャリのサドルを見て、クッションが効いていて痛く無いんだろうなと後ろから羨望の眼差しで眺める。決してお尻を眺めている訳では無いので悪しからず。

お尻の痛みが我慢出来なくなると公園に立ち寄り、休憩を取る。マンション前の小さい公園のほうが小さな子供達が沢山遊んでいるんだね。女子中学生と思しき集団もベンチで井戸端会議をやっている。緑の芝生が目に鮮やかで草刈りを終えたばかりなのだろう、草の香りが気持ちいい。

休み休み何とか安全に、自宅周辺に辿り着いた。しかし最後の地獄が待っている。そう急な上り坂地獄である。覚悟を決めてペダルを思いっきり踏み込む。信号待ちで、一斉にスタートした歩行者をパスして坂道を上りだす。あーでもやっぱり無理。ギアを一番軽いもの切替えるが、キチンとチェーンが噛み合わず漕ぐことが出来ない。

という事で諦めた。スッと自転車から降りて、トボトボ自転車を押して坂道を登って行く。ここでも後ろにお子さんを乗せた電動アシスト付き自転車にパスされて行く。私は歯を食いしばって自宅マンションに無事帰還出来た。

試運転のつもりが往復約20kmの小旅行になってしまった。全身の疲れが心地よい。止まらない汗が気持ち良い。ただお尻が痛いのは辛すぎる。私は今、クッション性の良いサドルをAmazonで探し、YouTubeで交換作業の手順を見て学習している。本日、雨音を聞きながら、かみさんにサドルの購入を提案しようと考えている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?