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『みんなの映画100選』絵:長場雄、文:鍵和田啓介、オークラ出版

紙の本が嬉しくなるとき・・

今日は中目黒の蔦屋書店に行きました。空手の稽古に行くまでの少しの時間だったけど、久しぶりにのぞいていたんです。

そこで、なんとも嬉しくなる本を見つけました。

『みんなの映画100選』絵:長場雄、文:鍵和田啓介、オークラ出版

なんかタイトルだけ聞くと、全く手に取りたくないような感じなんだけど、本のカバーを見ると、和田誠みたいなシンプルな絵が気になって手に取りました。昔の名作から最近の映画なんかも扱われています。表紙はレオンでしたね。

この本のまず、写真でもお分かりだと思うんですが、いわゆる背表紙がありません。糸綴じ製本してあります。最近はほとんどありませんが、アート系の本は糸綴じにしてある本がありますね。この最大の利点は本を180度になるまで開くことができます。この本は、2ページで一つの映画を扱っていますが、絵が2ページに渡っているのでしっかりと開けることで映画のシーンの迫力が出ます。そこまずいい。

それと帯にもありますが、「あのシーン、あのセリフ」と言うことで、各映画のワンシーンを切り取り、一言だけセリフが紹介されているのです。昔「お楽しみはこれから」と言うエッセイがありましたが、そんな感じで映画にちょっとだけ触れる楽しさがあるのですが、ここで私がこだわる点があります。そのこだわりはほとんど、叶えれないことが多いのですが・・・なんとこの本は、そこもこだわっているのです!これは嬉しかった。それは、日本語のセリフが紹介された後、オリジナルの英語のセリフも紹介されているのです。

例えば、『ゴッドファーザー』から、

「家族を大切にしないヤツは、本当の男にはなれない」

"A man who doesn't spend time with his family can never a real man."

他にも『世界でひとつの彼女』からは、

「恋に落ちたら誰だって変人。クレイジーなものなの。社会的に許容された狂気の形象の一種ね」

”I think anybody that falls in love is a freak. It's a crazy thing to do. It's kind of a form of socially acceptable insanity."

ね、面白くないですか。

それに、英語の勉強になるだけでなく、スピーチや文章を書くのときの気の利いたフレーズを見つけるヒントになるのです。だから、ともて嬉しいです。そして、いつも思うのです。こんな気に効いた言葉ってこんなに簡単に言えてしまうんだって。

本全体の色調も、白い紙に黒一色。帯だけピンクで色がある。こんなにシンプルなのが、なぜか色気があるように感じてしまいました。なんか、ロックのウィスキーでも舐めながら、ゆっくり味わってみたい本ですね。

ページに開け方に感心したり、その真っ白い紙や、表紙のかなりしっかりとした白い紙、それに背表紙にあたる部分の糸だけピンクになっているのもいい感じです。これはデジタル本だと味わうことができないですね。なんか今日は素敵な本と出会えたことがちょっと嬉しいのです。

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