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縄のごとし。

先週末、色々あって、とある友達との友情を失う羽目になった。

共通の友達もいるし、今後も顔を合わせることはきっとある。ただ、その場ではなんてことない振りをしたとしても、多分今までのように仲良くはできない。
小学生のころの「もう○○ちゃんとは絶交!!」というのとは違って(あれは大体数日後に撤回されるまでがセットだ)、この歳だと、一度関係が壊れてしまったら修復するのは難しいんじゃないだろうか。大人になってからここまではっきり「もうこの人と友達ではいられないな」と思った経験が初めてだから、わからないけど。
友達だったわけで、当然人として好きだった。尊敬もしていたし、一緒に過ごすのが楽しかった。そんな人を失うことが辛い。このままでいたかったのに。
ショックで、落ち込んで、その夜はひどく寝つきが悪かった。

翌日、この友達とは全く関係ない別の友人たちとホームパーティーをすることになっていて、しかもそのパーティーの発起人は私だった。寝不足も重なって、本当は何もしたくない気分だったけど、そういうわけにもいかない。忙しくしていたら気持ちもスッキリするかもしれないし、と気を取り直した。
このホームパーティーで、仲間の1人にお誕生日のサプライズをする予定だった。彼と私とは、誕生日が1週間違い。仲間たちは、前の週にやる予定だったお花見で、私への誕生日サプライズも企画してくれていたらしい。でも雨で中止になったからできなかったんだと教えてくれた。正直、サプライズされてみたかったからすごく残念だった。誕生日当日は淡々と仕事&家事をして、ケーキも食べず、ごく普通の日として済ませてしまった。皆からサプライズのお祝いをしてもらえたらどんなに素敵だったかな。雨を恨む。
というわけで、自分がされたかったサプライズを仕掛けるというちょっと複雑な心境になりながら、今回の主役がどうしたら喜んでくれるか考えを巡らせてドタバタ準備をした。
皆で囲むご飯と飲み物、それから彼にばれないようにひっそり回して書いたメッセージカードと、ポッケに忍ばせたクラッカー。見えないところにケーキを隠して、いつハッピーバースデーの音楽を流すか数人でこそこそ相談して、準備万端。
いざパーティーを始めて、皆が用意した食事を頬張りながらたくさん笑っているのを見ていたら、なんだかたまらなく嬉しかった。その空間に、ポジティブで幸せな空気が満ちてる気がして。
そしていよいよサプライズ!ハッピーバースデーを歌いながらケーキを彼のところに運んで、クラッカーを鳴らした。びっくりして固まった彼が、ぶきっちょに感謝を述べてくれるのが微笑ましかった。大成功じゃないか。皆に囲まれて、口々にお誕生日おめでとうと言われるのを内心羨みつつ、私もおめでとうと叫んだ。
友達の1人が彼にカードを渡しているのを見ながらはしゃぎ立てていたら、その友達が何故か私に向き直った。そして「これはとみーの分。お誕生日おめでとう!」と差し出してくれたのは、私宛のメッセージカードだった。彼へのメッセージカードと同時に、私の分も回して書いてくれていたらしい。そして、皆が私へもおめでとうとたくさん声をかけてくれた。
うえぇ?!と変な声が出た。まっっったく気づかなかった。私幹事なのに。彼へのカードを書いたかしょっちゅうあたりを見回して、皆に声掛けに行ってたのに。(だから、私へのサプライズを企画してくれた友達はずっとヒヤヒヤして、もう確認してくれるなと願っていたらしい笑)
お前もスピーチしろと言われてパニックのままお礼を言ったけど、あんまりびっくりしてたから、何を喋ったか覚えてない。支離滅裂だったことは確かだ。
そのあと皆とたくさん写真を撮って、主役の彼となぜかケーキバイトをしてお互いにおめでとうを言い合い、遅くまで大はしゃぎした。
お開きにした時も、口々に皆が今日はありがとう、改めて誕生日おめでとうと言ってハグをしてくれた。楽しんでくれたこともお祝いしてくれたことも本当に嬉しくて、言葉をひとつしか知らないオウムみたいにありがとうを繰り返した。ありがとう以上の言葉があればいいのにと何度も思った。

美味しいものでいっぱいになったお腹と、
プレゼントでいっぱいになった袋を抱えて歩く帰り道は、
心も幸せでいっぱいだった。

前日に起きた出来事が出来事だっただけに、私にもサプライズしてくれた皆の優しさが余計に沁みて、ちょっと恥ずかしいくらい喜んでしまった。友達を失って空いた穴を、友達が塞いで満たしてくれた。とはいえ誰も誰かの代わりにはなれないから、失った友達がいなくても平気ってことじゃない。塞いでもらったはずの穴から、すきま風が吹くこともあるかも知れない。でもこんなにも温かくて優しくて楽しい人たちが側にいてくれるから、きっと前に進める。いつかは教訓として、もしくは笑い話として、この穴の話ができたらいい。

禍福は糾える縄の如しとはよく言ったもので、大波のような2日間だった。
出来事の順番が逆じゃなかったのは救いかも。

余韻に浸りながら、また1週間、がんばろう。

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