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『ほんとうにたいせつなものはね、目に見えないんだよ』サン・テグジュペリ

BS12にて2024年6月10日に再放送された『ゲゲゲの女房』第23週「妖怪はどこへ消えた?」第133~138回(※NHKではドラマの放送回は「第◯話」ではなく「第◯回」と表記します)を見て、この本を思い出した。

今から20年以上前に、帝国ホテルのロビーで「サンタクロース展」というささやかな催し物があり、そのパネル展示の中に心に響くいい文章を発見したので、無理を言ってそのコピーを貰ったのがこちら。

 「サンタクロースって、本当にいるの?」これは、子供たちの誰もが一度は抱く疑問ではないでしょうか。サンタクロースとは一体、どこにいるのでしょう。
 
 実は、今から100年ほど前のニューヨークに、こうした質問を新聞社宛に書き送ったある一人の少女がいました。彼女は、バージニア・オハンロン、当時8歳。毎年、サンタクロースからのプレゼントを楽しみにしていたバージニアは、ある日、友達にサンタクロースはいないと言われ、真剣に悩んでしまいます。そこで、父親の勧めもあって、『ニューヨーク・サン』紙
宛に質問の手紙を出したのです。
 
 ここに展示したパネルは、1897年9月21日の新聞の社説として掲載された、バージニアへの返事です。「そうです、バージニアちゃん。サンタクロースはちゃんといます。」今や、クリスマスの古典としても語り継がれているこの社説は、サンタクロースが、私たちの心の中に住み、すべての人々に夢と喜びを与えてくれる人だということを教えてくれたのではないでしょうか。
----- Original Message -----

 バージニア、あなたの友だちは「サンタクロースなんているもんか」といっているそうですが、その子はまちがっています。このごろは、なんでもかんでも「そんなのはうそだ」と疑ってかかる人が多いけれど、その子もそんな疑りやさんなのでしょう。そういう子は、目に見えるものしか信じようとしないし、自分の頭で考えても理解できないものは、「あるもんか」と思ってしまうのです。しかし、自分の頭で考えられることなど、おとなだって子どもだって、そんなに多くないのですよ。
 わたしたちの住んでいる、このかぎりなく広い宇宙とくらべたら、人間の知識なんてものは小さな虫ていど、そう、アリのようにちっぽけなものです。この広い世の中にある「すべての真実と事実」を考えてみたら、わたしたちが頭でわかっていること、知っていることなどは、ほんの少ししかありませんよね。そう、バージニア、サンタクロースはいるのです。
 サンタクロースがいる、というのは、この世の中に愛や、やさしさや、思いやりがあるのと同じくらい、たしかなものです。わたしたちのまわりにある愛や思いやりは、あなたの生活を美しく楽しいものにしているでしょう?
 
 もし、サンタクロースがいなかったとしたら、この世の中はどんなにつまらないことでしょう! サンタクロースがいないなんて、バージニアみたいな子どもがいない、というのと同じくらいさびしいことだと思いますよ。サンタクロースがいなかったら、すなおに信じる心も、詩も、夢のような物語もなく、人生はちっとも楽しくないでしょう。わたしたちが、喜びを感じるのも、目で見たりさわったり聞いたりできるものだけになってしまいます。そして、子どもたちが世界中にともした永遠の光も、消えてしまうことでしょう。サンタクロースが信じられない、とはね! それじゃあ、妖精がいることも信じない、ってことになるね!
 なんだったら、パパにたのんで、だれか人をやとって、クリスマス・イブに街中の煙突を見張ってもらって、サンタクロースをつかまえてみることにしましょうか? でも、もしサンタクロースが見つからなくても、それがどうしたっていうんです?
 サンタクロースを見た人は、だれもいません。でも、だからといって、サンタクロースがいない、といえるでしょうか。この世のなかでいちばんたしかでほんとうのもの、それはおとなの目にも、子どもの目にも見えてないのです。
 
 妖精が芝生の上でダンスしているのを、見たことがありますか? もちろん見たことがないでしょう。でも、見たことがなくても、妖精なんかいないんだ、ということにはなりません。この世の中には、目に見えないものや、見ることができないものが、ずいぶんたくさんあります。そんなふしぎなものすべてを、人間がわかったりできるものですか。
 目に見えない世界は、一枚のカーテンでおおわれていて、どんな力持ちでも、力持ちが何十人集まっても、そのカーテンを開けることができるのは、信じる心、想像力、詩、愛、夢見る気持ちだけなのです。そういう心さえあれば、カーテンのむこうにひろがる、美しく、きらきらした輝かしい世界を見ることができるのです。
 そんな世界は幻ではないかって? バージニア、カーテンのむこうの世界こそが、ほんとうであり永遠なのです。
 
 サンタクロースがいないだなんて! うれしいことにサンタクロースはちゃんといるし、これからもずっと生きつづけるでしょう。今から一千年たっても、いえ、その百倍に月日が流れても、サンタクロースは子供たちの心の喜びとして、ずっとずっと、生きつづけることでしょう。

サンタの友だちバージニア

日本にサンタさんがいなくても「妖怪はおるよ」という話。

「信じる・信じない」ではなくて「いる」という絶対的確信を信仰というのかもしれません。
毎年年末恒例のNHKニュースで微笑ましいのは、
「サンタクロースのふるさと、フィンランドからサンタさんがトナカイのそりに乗って、全世界の子どもたちにプレゼントを配るために出発しました。」って伝えてくれるところ。フェイクニュースじゃありませんよと(笑)

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