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ずるい人
「寂しくなったり、夜眠れなくなったら、いつでもおいで、迎えに行くから」と、中目黒に住むすこぶる顔の良い男に言われた。
私は度重なるダメな恋愛から、学んだ。
〈欲しい言葉をくれる人は、本当に欲しいものを絶対にくれない。〉ということを。
例えば、私がこの人のことをどうしようもなく好きになった時、きっと彼女になんてしてくれない。
ガツガツしてなくて、余裕があるのは、モテるからだ。去るもの追わずなのも、モテるからだ。
長身、ロン毛、髭という、私の好きなタイプ全て当てはまっている。「凪のお暇」のゴンさんみたいだ。King Gnuの常田さんみたいだ。メンズノンノの成田凌さんみたいだ。
私の培ってきたセンサーが、
〈この人はやめておけ!逃げろ!早く全てのSNSをブロックするのだ!!!!〉と警報を鳴らす。
私はもう26歳になる。
底が見えないほど深そうな沼に自ら足を突っ込むほど、若くはないし、もう人生に疲れている。頑張れない。
相手が私なんかを好きになるわけがないと120%分かっているので、逆に居心地がいい。
頑張らなくていい。
早く別の沼に移動できればいいな…。
その思考が間違えていることに、気づかないふりをしている。今、沼にハマってしまっているということを裏付けてしまっている。
沼から沼に移動する、沼女になってしまった…
きっと『千と千尋』に出てくるドロドロの神様よりも、もっとドロドロしていると思う。
今の沼はもしかしたら沼ではないのかもしれないな…
沼に見えた給水所なのかもしれないな…
まあ、そんなことはどうでもよくて、
私は今日も眠れない。
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