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オウム。追う無

幾千年の昔、籠に捕らわれたオウムがいました。

オウムはいつも籠を鳴らし主人に訴えます。

「はやくここから出せ。私はこんなところで完結する生命ではない。」

オウムは今いる籠の中から抜け出し外の世界を見たいと考えていました。

しかしその声は主人には届きません。


同じ籠に捕らわれているもう一匹の小さいオウムが言いました。

「お前はいつも外に出たいと言っているがやはりやめといたほうがいい。外の世界は大変危険だ。」

実はこの小さいオウムは外の世界からやってきたオウムなのです。

怪我して道でくたばっているときに主人に拾い上げられ、庇護を受けたのでした。

「外の世界は広いのだろう。この狭い籠の中では十分に羽も広げられない。私は自由に大空を羽ばたきたいのだ。」

「お前にはそれはできない。やめておいた方がいい。変に夢を見るんじゃあないよ。」

オウムは拗ねてしまいました。


主人は一日に一回、籠を開き餌を補充します。

オウムはずっとその瞬間を狙って脱出しようと考えていました。

そしてとある冬。その日は訪れました。

いつものように餌を補充するため籠を開けたとき、家の呼び鈴が鳴ったのです。

主人はあろうことか籠を開きっぱなしで来客に応じました。

オウムは歓喜し、その瞬間バッと飛び出し玄関から走り出ました。

「ついに外の世界に出ることが出来た。私はもう自由だ。」

そう言いオウムは羽を大きく広げ揺らしました。

しかし一向に体が宙に浮かないのです。

「なぜだ。なぜ飛ぶことが出来ないのだ。同居人の小さいオウムは籠の中でも羽を羽ばたかせ飛んでいたではないか。」

何度も何度も試しますが足が地面から離れることはありませんでした。

丸一日経ち、ついにオウムは餓死して死んでしまいました。



籠にひとり残された小さなオウムは言いました。

「決して飛べやしないんだよ。お前はフクロウオウム、世界で唯一飛べないオウムだ。外の世界なんて夢見なければこの籠の中で何も不自由することなく生きて行けただろうに。」


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