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漫才で考える持続可能な未来

2022年8月、日本有数の農業王国の昭和村と、日本有数のお笑い王国の吉本興業が「包括連携協定」を結びました。目的は、お互いの持ってるものを合わせることでWin×Winになるような未来を創造していくこと。

その中の一つの事業として、中学校で漫才ワークショップの授業を行いました。子どもたちに二人一組のコンビを組んでもらい、ボケとツッコミを決めてもらう。穴埋めになった漫才台本を渡して、それを話し合って考えて埋める。
自分と目の前の相手の違いを尊重しながら、一つのゴールに向かって折り合いをつける作業。
そうして完成したネタを練習して、緊張を乗り越え、胸を張って大きな声でクラスメイトに届けて笑ってもらう。
ウケて喜ぶのもいいし、練習通りにできなかったことを反省したっていいし、自分の苦手を知るってことも大切なこと。
とにかく楽しく、それぞれがそれぞれの視点で学ぶ授業。
絶対、良いです。

実施に当たり、事前に大人たちが集まって、子どもたちの未来のために話し合いました。
争点になったのは、今回の漫才授業がいじめにつながるようなことはあってはならないってこと。
僕らプロからすれば、そもそもお笑いっていうものは大前提にそれがあって、誰かが傷つくようなことはそもそも面白くない。
そこも学びの一つとは思うけれど、でも町の事業としてやるには"決まり"を作らなければならない。

「暴力禁止。人をバカにしない。悪口は言わない。」

これを授業の冒頭で、徹底的に共有することにしようと。
とても大事なことなんですが、教えすぎなんじゃないかと、僕は思いました。
だから今回、”決まり”を与えずに、まず話し合ってもらいました。

「わざわざ学校の授業として、みんなに漫才をやってもらいます。じゃあこの漫才ワークショップで何が得られると思う?」

仲良くなる、お互いを知る、クラスが明るくなる、人前で喋る練習、お笑いの技術を学ぶ、などなど。こちら側の想像を上回る、たくさんの意見が出ました。そしたらあとは話が早いです。

「みんなが出してくれたこれらの学びを最大限に実現するために、やっちゃいけないこと、やらない方がいいことは何だと思う?」

暴力禁止、人をバカにしない、悪口は言わない、意見を聞く、自分がやられて嫌なことはしない、全力で楽しむ、焦らず自分のペースで、みんなの笑顔のために、などなど。
これは、誰かから押し付けられた決まりではなく、自分たちで考えて決めたルールです。

まとめ

教えてもらうこと、与えられることが当たり前になり、当たり前に慣れてくると、人は他責思考のクレーマーになります。先生の教え方が悪い。今年の先生はハズレだ。一方で、学びたいことを自分で決めて、わからないことがあった時だけ先生に聞くようにすると、生まれるコミュニケーションは「ありがとう」になります。

大事なことは、自分たちで決めること。

大人になってから、今ある状況を誰かのせいにして不平不満で生きるより、自分たちでしっかり決めて、進みたい未来を創造していってほしいと思います。

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